ビクター「7AW−33」修復記その2


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修理を依頼された、日本ビクター(VICTOR)の「7AW−33」 の修復をして見ました。


修復前の様子。高周波1段増幅3バンドのビクター最上位機種が修理にやって来た。使用真空管は、UZ−6D6(高周波増幅)、6SA7−GT(周波数変換)、UZ−6D6(中間周波数増幅)、6SQ7−GT(検波&低周波増幅)、UZ−42(電力増幅)、KX−80(整流)、EZ−6E5(同調指示)と、ST管GT管混成である。残念ながらつまみが1個欠品である。


修復前の内部様子。かなり汚れている。電源コードが切断されており、何か事故でもあったのであろうか?


修復前のシャーシー上部の様子。かなり汚れており、状態は悪い。相変わらずシャーシーを取り出すのに、ダイアル盤の裏板を外さなければならず、最低なメインテナンス性である。


修復前のシャーシー内部の様子。事故や修理の跡はない。オリジナルの状態である。試験したら、検波&低周波増幅の6SQ7−GTがかなり劣化している様だ。


キャビネット裏蓋内部には、「昭和29年5月24日、日高浦河昆布礁調査の記念に」と、記載があった。北海道ゆかりのラジオが、どんな縁で関西に来たのであろうか?


マジックアイは、ご覧のとおりほとんど光らず。


シャーシーは歯ブラシで清掃し、ご覧の様にかなり綺麗になりました。


修復が完了したシャーシー内部の様子。全てのペーパーコンデンサーと、ケミコンを交換しました。断線の予想される出力トランスも交換しました。電源コードはご希望通り、袋打ちコードと丸形プラグに交換しました。マジックアイも新品に交換しました。シャーシー後ろにはマジックアイ消灯用のスイッチを取り付けましたので、普段は消灯して輝度劣化防止に努めて大切にお使いください。ダイアル糸が滑ってうまくチューニングできなかったので、糸を張り替えました。またボリュームにガリがあり、こちらも交換しました。いろいろと手間の掛かったラジオです。


今更ながらであるが、シャーシーを取り出すために、ここのキャビネットの穴からダイアル指針が取り外せる事がわかった。普通はどこかに注意書きの記載があるはずであるが、不親切である。普通の5球スーパーラジオの約2倍の32,000円もした最高級ラジオなのに・・・。


修復が完了したところ。ガンガン鳴ってくれる。欠品だったつまみはここから入手したが、残念ながら大きさが小さかった。バンド切り替えスイッチの接触が若干悪かったので、接点を磨き接点復活剤を塗布して改善した。ビクターの最高級ラジオ、大切にお使いください!

以上、交換部品代は約12,000円、修復作業時間は約10時間でした。

このラジオは以前同じ機種の修理経験があります。詳しくはこちら

誠文堂新光社から2007年11月16日に発売の「真空管ラジオ製作ガイド」と、2008年12月17日発売の「ゲルマラジオ製作徹底ガイド」と、2009年10月22日に発売の「真空管レフレックスラジオ実践製作ガイド」と、CQ出版社から2010年4月19日発売の「CQハムラジオ」の一部を執筆させて頂きました。是非とも1冊ご購入をお願いします!


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