ビクター「7AW−33」修復記その1


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修理を依頼された、日本ビクター(VICTOR)の「7AW−33」 の修復をして見ました。


修復前の様子。高周波1段増幅3バンドのビクター最上位機種が修理にやって来た。一応鳴るらしいが、いろいろと不具合があるらしい。使用真空管は、UZ−6D6(高周波増幅)、6SA7−GT(周波数変換)、UZ−6D6(中間周波数増幅)、6SQ7−GT(検波&低周波増幅)、UZ−42(電力増幅)、KX−80(整流)、EZ−6E5(同調指示)と、ST管GT管混成である。残念ながら、ツマミはオリジナルではないみたいだ。マジックアイは新品の6S5Gが付いている。


修復前の内部様子。内部はタバコのヤニで若干汚れている。フィールドダイナミックスピーカー搭載である。


修復前のシャーシー上部の様子。ヤニで汚れており、2系統あるダイアル糸のうち1本のダイアル糸が張り替えられていた。


何とこのラジオ、シャーシーを取り出すのに、ダイアル指針が邪魔して取り出せず、ダイアルの裏側のパネルを外さないとシャーシーが取り出せないという、今までに無い最悪のメインテナンス性である。よくもまあ、こんな製品を作ったなあって感じ。ラジオ工房の内尾様の修理記録でも、ダイアルの裏側のパネルが欠品しているのは、この事が原因であろう。


修復前のシャーシー内部の様子。当時の部品のまま、事故や修理の跡は見られない。


修復が完了したシャーシー内部の様子。全てのペーパーコンデンサーとケミコンを交換しましたので、安心して使用出来ます。電源コードと断線の予想される出力トランスも交換しました。マジックアイの消灯用のスイッチも取り付けます。電源スイッチか切れないとの事でしたので、トーンコントロール用のロータリーSWを分解し、調整しました。


修復が完了したところ。ケースに苦労して収めたたら、交換していない方のダイアル糸が切れ、また苦労してシャーシーを取り出した。まったく修理しにくい困ったラジオである。やっとケースに収め通電試験すると、ガンガン調子よく鳴ってくれる。ビクターの最高級ラジオ、大切にお使いください。


その後、依頼主の方からツマミを取り替えたとの事で、写真を送って頂いた。ありがとうございました。

以上、交換部品代は約5,000円、修復作業時間は約10時間でした。

このラジオは以降に同じ機種の修理経験があります。詳しくはこちら

誠文堂新光社から2007年11月16日に発売の「真空管ラジオ製作ガイド」と、2008年12月17日発売の「ゲルマラジオ製作徹底ガイド」と、2009年10月22日に発売の「真空管レフレックスラジオ実践製作ガイド」と、CQ出版社から2010年4月19日発売の「CQハムラジオ」の一部を執筆させて頂きました。是非とも1冊ご購入をお願いします!


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