シャープ「6P−33」修復記


(続)真空管ラジオ修復記 > 戦後mT管トランス付きスーパーラジオその3 > シャープ「6P−33」修復記

修理を依頼された、早川電機工業(SHARP)の「6P−33」 の修復をして見ました。


修復前の様子。古い家を解体する時に、元箱入りで出てきたそうである。一応なるらしいが、お店で末永く使いたいとの事で、修理&点検にやってきた。使用真空管は、6BE6(周波数変換)、6BD6(中間周波数増幅)、6AV6(検波&低周波増幅)、6AR5(電力増幅)、5M−K9(整流)、EZ−6E5(同調指示)である。前面は電源兼用音量調整とチューニングのみで、後期のトランスレスラジオの様なシンプルな作りである。


修復前の内部様子。埃や汚れも少なくて状態は良さそうだ。調整がずれているのか、ダイアル目盛りと受信周波数が全然ずれているそうだ。また音量調整のボリュームに、ガリがあるそうだ。


シャープの文字のエンブレムが、少し変わっている。


裏蓋の形式表示はご覧のとおり、いたって普通である。


シャーシーの後ろ側に、DX−LOACL−PHONOの切り替えのスライドスイッチがついているが、後ろなので使いにくい。何故こんな所に付けたのだろう・・・?


もう一つスライドスイッチが付いているが、こちらはスピーカーとイヤホンの切り替えらしい。イヤホン端子はご覧の通り現在のプラグとは違っている。


御依頼主様のご希望により、PH入力端子にMP3プレイヤー等を接続できる様に、3.5mmステレオミニプラグを取り付けた、インピーダンス変換用の入力トランスを先に製作しました。この入力トランスは、ラジオ本体の電源トランスや出力トランス、スピーカーや電源コードなどに近づけないでください。電磁結合してハム音やハウリングの原因になる場合が有ります!


マジックアイは一度交換された様でトーヨー製が付いていたが、自作のマジックアイテスターで確認したところ輝度はご覧のとおりほとんど光らなかった。交換すると高価なので、今回はこのまま使用する事になった。

 ← クリックすると、大きな回路図が表示されます。
キャビネットには回路図も貼ってあった。


真空管は、マジックアイを除いてマツダ製が付いていたが、出力管の6AR5(右から3番目)は、ご覧のとおりゲッターがほとんど残っていない。これは交換しなければ・・・。


修復前のシャーシー上部の様子。エアガンで埃を吹き飛ばして、すっきりしました。


修復前のシャーシー内部の様子。事故や修理の跡はない。状態が良く音が出たといっても、年代相応である。


内部には絶縁皮膜がボロボロになって、危険な箇所も数カ所見られました。このまま使わず修理&点検にやってきて、本当に良かったです。


プラスチックのキャビネットは水洗し、長年の汚れと埃を落とし、綺麗さっぱりとなりました。


よーく見ると、シャーシー後ろ側のLOCAL−DX−PHONOの切り替えのスライドスイッチの接点が、ご覧の様に黄色の線でジャンパーされている。接点の接触不良で、切り替えスイッチが殺された可能性がある。このスライドスイッチは特殊なので、交換する事はできません。なんとか復活させる様にしなければ・・・。


修復が完了したシャーシー内部の様子。安全の為に、全ての抵抗とコンデンサーを交換しました。断線の予想される出力トランスとガリのあるボリュームも交換しました。スライドスイッチは接点を磨き接点復活剤で清掃しました。


修復が完了したところ。マジックアイは新品で撮影してあります。各種調整を実施し、ダイアル周波数のずれも無くなりました。お店で大切に、末永くご使用ください。


その後、外部入力時に音量が大きすぎるとの事で、入力トランスにボリュームを取り付ける改造を実施しました。


その後、お店でタブレットをつなぎ、ネットラジオを流している写真を送って頂きました。この古いラジオからネット経由の放送が流れるなんて、不思議な感じですね!お客さんもびっくりすると思います!

以上、修復作業時間は約10時間、交換部品代は約6,900円でした。

誠文堂新光社から2007年11月16日に発売の「真空管ラジオ製作ガイド」と、2008年12月17日発売の「ゲルマラジオ製作徹底ガイド」と、2009年10月22日に発売の「真空管レフレックスラジオ実践製作ガイド」と、CQ出版社から2010年4月19日発売の「CQハムラジオ」の一部を執筆させて頂きました。是非とも1冊ご購入をお願いします!

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