ナナオラ「44型」修復記


(続)真空管ラジオ修復記 > 戦前〜戦時中〜終戦直後のラジオその5 > ナナオラ「44型」修復記

修理を依頼された、七欧無線電気商会(NANAOLA)の「44型」 の修復をして見ました。


修復前の様子。形が人気の戦前のカセドラル型ラジオである。使用真空管はオリジナルでは、UY−224(高周波増幅)、UY−224(再生検波)、UZ−247B(電力増幅)、KX−112B(整流)である。以前に修理した44A型の姉妹機である。


修復前の後ろの様子。年代相応であろうか?


修復前のシャーシーの様子。依頼主の方が清掃したとの事で、それなりに綺麗である。マグネチックスピーカーのコイルは、導通があった。


七欧無線電気商会の銘板も残る。


こちらはラジオ受信機許諾証である。


こちらは付属変圧器の規格票と、いろいろな銘板が付いていた。


修復前のシャーシー上部の様子。出力管の247Bが欠品で、他はオリジナルとみられるナス管が付いていた。真空管を試験したところ、UY−224の1本が劣化している様だ。


修復前のシャーシー内部の様子。以前修理した44A型と内部は酷似している。ゴム被覆の配線コードは、ナショナルラジオの豆球の配線と同様に、経年劣化でボロボロと被覆が剥がれて来て危険なので、全ての配線をやり直す事とする。


横一列に部品が取り付けられており、気持ちが良い。このラジオには同型のチョークコイルが3個使われているが、残念ながら2個のチョークコイルの巻き線が断線していた。残る1個は電源平滑用で、一番電流が流れるチョークなんで、今後の断線が不安である。抵抗は、元祖カラーコードなのか色分けされている。


初段のアンテナコイルに入るRFのゲイン調整ボリュームの巻き線可変抵抗器であるが、抵抗線が数カ所で断線しており、スイッチ部分も接触不良である。交換が必要であるが、同じ物は入手出来ない。抵抗値が1.5KΩと微妙であるのも問題だ!


このカバーの中が、電源ユニットである。


カバーを開けると、電源トランスと、ペーパーブロック型コンデンサーが現れた。当然ペーパーコンデンサーは交換します。電源トランスは通電確認して、正常である事が確認出来ました。


電源部のペーパーコンデンサーをケミコンに交換したところ。部品が小型化しているので、すっきりしました。カバーをかぶせると外からは解りません。元々は3μFだったのですが、20μFを付けたので、ハム音はかなり低減されるはずです。


初段のRFのゲインコントロールのボリュームも、1KΩのSW付きに交換しました。


電気配線の修復が完了したところ。全てのペーパーコンデンサーを交換しました。断線していた2つのチョークコイルと、断線していなかったもう1個のチョークコイルも交換しました。


修復が完了したところ。結構大きな音で鳴ってくれる。カセドラル型の貴重なラジオです。大切にお使いください!

以上、交換部品代は約11,000円、修復作業時間は約18時間でした。

誠文堂新光社から2007年11月16日に発売の「真空管ラジオ製作ガイド」と、2008年12月17日発売の「ゲルマラジオ製作徹底ガイド」と、2009年10月22日に発売の「真空管レフレックスラジオ実践製作ガイド」と、CQ出版社から2010年4月19日発売の「CQハムラジオ」の一部を執筆させて頂きました。是非とも1冊ご購入をお願いします!

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