ナショナル「UX−500」修復記


(続)真空管ラジオ修復記 > 戦後mT管トランスレススーパーラジオその5 > ナショナル「UX−500」修復記

修理を依頼された、松下電器産業(NATIONAL)の「UX−500」 の修復をして見ました。


修復前の様子。オークションで入手した時は鳴らなかったが、出力トランスやコンデンサーを交換し、一応鳴るが調子が悪くて修理&点検にやって来た。使用真空管は、12BE6(周波数変換)、12BD6(中間周波数増幅)、12AV6(検波&低周波増幅)、30A5(電力増幅)、35W4(整流)である。


修復前の内部様子。ご自分で、サランネットの張り替えや、キャビネットの再塗装などをされたそうであるので、かなり綺麗な状態です。


修復前のシャーシー上部の様子。若干の埃が積もっているが、綺麗な方だ。ヒューズに2Aが付いているが、これでは大きすぎて効果がありませんので、0.6Aに交換しました。


修復前のシャーシー内部の様子。とりあえず鳴るように手持ちのコンデンサーで交換したらしいが、信頼性の低いオイルコンデンサーだったり、まだ数個のペーパーコンデンサーが残っていたりするので、全てのコンデンサー類を、信頼性の高いフィルムコンデンサーに交換することにします。音質切り替え兼用の電源スイッチは、煙が出たとかで交換されている。ナショナルラジオは、ロータリーSWの絶縁不良が起こりやすいので、注意が必要です。


出力トランスが断線して鳴らなかったとの事で、手持ちの物に交換したそうであるが、良く見ると1次側のインピーダンスが5KΩの物である。このラジオの出力管の30A5の負荷抵抗は、2.4KΩなんで、倍以上の差があるのは音が歪んだり効率が悪かったりの原因になります。幸いな事に、2次側の4Ωの端子に、このスピーカーのボイスコイルのインピーダンス3.8Ωが接続されていたが、これを8Ωの端子に繋ぎ変える事によって、1次側から見たインピーダンスが半分に見えることから、約2.4KΩとぴったりになるので、8Ωの端子に接続し直しました。


修復が完了したシャーシー内部の様子。全てのコンデンサーを交換しました。ケミコンは漏洩電流も少なく良好なのでこのままとしましたが、ハム音が気になるとの事でしたので、抵抗後のコンデンサーを若干追加しておきました。真空管を試験してみると、12BE6と12AV6がかなり劣化していたので、交換しました。


修復が完了したところ。最初よりは良い音で調子よく鳴っています。ダイアル可動部分も注油して、動きがスムーズになりました。大切にお使いくださいね!

以上、修復作業時間は約4時間、交換部品代は約2,200円でした。

誠文堂新光社から2007年11月16日に発売の「真空管ラジオ製作ガイド」と、2008年12月17日発売の「ゲルマラジオ製作徹底ガイド」と、2009年10月22日に発売の「真空管レフレックスラジオ実践製作ガイド」と、CQ出版社から2010年4月19日発売の「CQハムラジオ」の一部を執筆させて頂きました。是非とも1冊ご購入をお願いします!

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