ナナオラ「S−5R55」修復記


(続)真空管ラジオ修復記 > 戦後ST管スーパーラジオその5 > ナナオラ「S−5R55」修復記

修理を依頼された、七欧無線(NANAOLA)の「S−5R55」 の修復をして見ました。


修復前の様子。使用真空管は6W−C5(周波数変換)、UZ−6D6(中間周波数増幅)、6Z−DH3(検波&低周波増幅)、UZ−42(電力増幅)、KX−80(整流)である。通電したら電源トランスから煙が出たそうである。恐ろしい・・・!低周波増幅に6Z−DH3Aではなく6Z−DH3を使用しているので、戦後すぐの製品かもしれない。ここのページによると、逓信省形式試験合格受信機第246号らしい。ツマミが1個欠品でばらばらである。


修復前の内部様子。電源コードが交換されている様だ。レストアされた物であろうか?IFTは側面から調整が出来るみたいで、便利である。


修復前のシャーシー上部の様子。シャーシーにフィールドダイナミックスピーカーが付いている。ずっしり重たいのである。


修復前のシャーシー内部の様子。交換されているのは電源コードのみである。よーく見るとヒューズの85V端子と100V端子に両方、5Aのヒューズが取り付けられている。何と恐ろしい!!!これでは15V分がショートしている事になる。電源トランスから煙が出たのは、これが原因である。ヒューズはどちらか一方(100V側)のみに適正な値(1A以下)を取り付けましょう!


内部には、真空管配置図が貼られているが、回路図は見あたらない。


電気回路を修復したところ。全ての抵抗とコンデンサーを交換しました。被覆がボロボロで危険な配線も交換しました。まだ安全上不十分なので、通電試験はしていません。


出力管のUZ−42を真空管試験器で試験したら、ご覧の様に針がほとんど振れないだけ劣化していた。また整流管のKX−80はヒーターが断線していた。両方とも交換する事にした。


内部から直接配線が出ているIFTだが、被覆がボロボロで危険だったので、分解して線を交換しました。これで安全が確保できました。


全ての修復が完了したところ。マジックアイを取り付けて欲しいとの事で、ソケットを取り付けました。後ろに消灯用のスイッチを取り付けましたので、普段は消して輝度の劣化を防止して大切にお使いください。断線の予想される出力トランスも交換しましたので、安心です。通電確認し、音が出るレベルまでになりました。サランネットを張り替えて完成の予定です。


サランネットを張り替えて、ご希望によりマジックアイを新たに取り付けました。マジックアイのキャップや取り付け金具は貴重品で、もう在庫限りで入手できません。いよいよ最終確認と調整で完成です。


修復が完了したところ。調整したがあまり感度がよろしくない。サランネットを張り替えて、見た目は綺麗になりました。大切にお使いくださいね。

以上修復作業時間は約12時間、交換部品代は約13,000円でした。

誠文堂新光社から2007年11月16日に発売の「真空管ラジオ製作ガイド」と、2008年12月17日発売の「ゲルマラジオ製作徹底ガイド」と、2009年10月22日に発売の「真空管レフレックスラジオ実践製作ガイド」と、CQ出版社から2010年4月19日発売の「CQハムラジオ」の一部を執筆させて頂きました。是非とも1冊ご購入をお願いします!

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