ナショナル「R−48」修復記その2


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修理を依頼された、松下無線(NATIONAL)の「R−48」 の修復をして見ました。


まず、このラジオのポスターから。これもナショナルの戦前の有名な受信機です。このR−48型にはいろいろなバージョンがあるみたいで、ポスターのとは若干キャビネットの外観が違っています。僕の知っている限り、最低3種類のキャビネットが存在しています。


修復前の様子。使用真空管は、オリジナルではUY−224(高周波増幅)、UY−224(再生検波)、UY−247(電力増幅)、KX−112(整流)とナス管であるが、UY−24B(高周波増幅)、UZ−57A(再生検波)、3Y−P1(電力増幅)、KX−12F(整流)が刺さっていた。再生検波管は、そのまま差し替えが出来るUY−57Sではなく、ソケットが交換されてUZ−57Aに交換(改造)されている。


修復前の内部様子。依頼主の方が、清掃されたそうで、綺麗である。


修復前のシャーシー上部の様子。見たところ、ソケット交換以外の改造の跡は見られないが、詳細は内部を見なければわかりません。


マグネチックスピーカーもオリジナルで状態も良さそうである。奇跡的にコイルの断線もなかった。


銘板もご覧のとおりである。この形式には、いろいろなバージョンがあり、改良が加えられている。


ダイアルは、当時流行のエアプレーン・ダイアルである。


修復前のシャーシー上部の様子。大変綺麗な状態である。右側の大きな黒い箱が再生コイル、左側の黒い箱が電源ユニットである。当選号からの流れを受け継いでいる。


回路図も上部に付いているが、小さくてよく見えない。こちらの箱には、再生コイルが入っている。


こちらは電源ユニット上部の銘板である。電源トランスとチョークコイルが入っていて、コンデンサーは外付けになっている。ペーパーコンデンサーのトラブルが多かったから、こうなった?


修復前のシャーシー内部の様子。よ〜く見ると、レストアがされているが、信頼性の低いペーパーコンデンサーもそのままだったりする。中途半端なレストアだ!


ブロック型のペーパーコンデンサーが入っていたケースは、レストアで内部にケミコンが配置されている様子だ。漏洩電流を計測し、良好な事を確認しました。平成15年9月28日と記載がある。9年前に誰かがレストアしたらしい。でも外付けで普通のケミコンもパラで接続されている。どうせここまでやるなら、ペーパーコンデンサーも交換しておいて欲しかった。いろいろな人が手を加えたラジオである。でも、ほぼ原型の回路をとどめているのが、何よりだ!


修復が完了したシャーシー内部の様子。信頼性の低い当時のペーパーコンデンサーと抵抗を全て交換しました。電源コードも交換しました。依頼主のご希望により、ソケット交換し改造されて57Aが使われている回路を、元に戻して24B(57S)が使える様にして欲しいとの事で、ソケットを24Bの刻印の入っているソケットに交換しました。よーく見ると、回転式の電源スイッチ部分が、電源兼用音量調整のボリュームが付けられてました。


修復が完了したところ。残念ながら、24Bが不良でした。手持ちの真空管で動作を確認しました。貴重な戦前のベストセラーラジオ、大切にお使いくださいね!

以上、交換部品代は約2,000円、修復作業時間は約13時間でした。

これと同じ形式のラジオは以前修理経験があります。詳しくはこちらと、こちら。また、読者様のラジオにも修理記録があります。詳しくはこちらと、こちら

誠文堂新光社から2007年11月16日に発売の「真空管ラジオ製作ガイド」と、2008年12月17日発売の「ゲルマラジオ製作徹底ガイド」と、2009年10月22日に発売の「真空管レフレックスラジオ実践製作ガイド」と、CQ出版社から2010年4月19日発売の「CQハムラジオ」の一部を執筆させて頂きました。是非とも1冊ご購入をお願いします!

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