「大型ラジオ」修復記


(続)真空管ラジオ修復記 > 戦後ST管スーパーラジオその4 > 「大型ラジオ」修復記

修理を依頼された、メーカー不詳の「大型ラジオ」 の修復をして見ました。


修復前の様子。大きさは縦85センチ×横65センチ×奥行き45センチとかなり大きい。使用真空管は、UZ−6D6(高周波増幅)、6W−C5(周波数変換)、UZ−6D6(中間周波数増幅)、6Z−DH3A(検波&低周波増幅)、UZ−42(電力増幅)、KX−80K(整流)、EZ−6E5(同調指示、欠品)である。以前修理した大型電蓄と似た構造である。2バンド短波付の高級ラジオである。


大型電蓄のキャビネットであるが、上蓋の内側にはターンテーブルは取り付けられていない。ちょっと寂しいのである・・・。


正面は普通のラジオの様であるが、ツマミが5つも付いている。マジックアイの穴も、ソケットも、取り付け金具も付いているが、肝心の6E5の真空管が欠品である。これは現在1本5,000円程度と高価で貴重なため、このままとする。


修復前の内部の様子。シャーシーがアルミなんで、メーカー製品ではなく組み立て品らしい。PU入力らしい端子も見られるので、ターンテーブルさえ有れば、SP盤を聞くことが出来るので、非常に残念である。(最近蓄音機を修理して、SP盤の音が好きになった僕なのである!)


後ろには、「関東ラジオキャビネット物品税完納協力会」の証が貼られている。この頃は、ラジオセットの完成品には、高価な物品税が掛かっていたので、素人の組み立てが流行った頃である。


修復前のシャーシー上部の様子。埃をエアガンで飛ばして綺麗になりました。ツマミは左から電源、音質、音量、バンド切り替え、チューニングである。


修復前のシャーシー内部の様子。当時のコンデンサーのままである。半田付けや配線は、やはり素人ぽっく、あまり上手ではない。何と、90Vと100V切り替えのヒューズホルダーには、両方に10Aの巨大なヒューズが付いていた。これでは全然役に立たないばかりか、ショートしているのでトランスが発熱し危険な状態です。ヒューズは必ず片側のみに挿入し、間違っても両方に挿入しない様にしてください!!!


修復が完了したシャーシー内部の様子。このラジオは、素人組み立てみたいで、全ての配線をやり直しています。特に半田付けが下手で、外すのに苦労しています。ガリ防止の為に、2つの可変抵抗器も交換しておきました。もちろん全ての抵抗やコンデンサー類は新品に交換したので、安心です。


出力トランスの1次側は、例の如く断線していましたので、交換しました。いよいよ通電試験を実施し、動作確認が出来ましたが、かなり調整がずれているので、現在は各種調整と試験中です。もうすぐ完成となります。


修復が完了したところ。各種調整&試験後、問題無さそうなので完了とする。マジックアイは写真では新品を取り付けて撮影してますが、実際は欠品です。ソケットを付けてありますので、追加することも出来ますが、現在は1本5,000円程度と高価で貴重です。迫力の音がする高級ラジオです。是非とも大切にお使いください!

以上、交換部品代は約8,100円、修復作業時間は約20時間でした。

誠文堂新光社から2007年11月16日に発売の「真空管ラジオ製作ガイド」と、2008年12月17日発売の「ゲルマラジオ製作徹底ガイド」と、2009年10月22日に発売の「真空管レフレックスラジオ実践製作ガイド」と、CQ出版社から2010年4月19日発売の「CQハムラジオ」の一部を執筆させて頂きました。是非とも1冊ご購入をお願いします!

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