メーカー不詳「並三」修復記


(続)真空管ラジオ修復記 > 戦前〜戦時中〜終戦直後のラジオその3 > メーカー不詳「並三」修復記

修理を依頼された、メーカー不詳の「並三」 の修復をして見ました。


修復前の様子。いつもお世話になっている国産真空管ラジオ専門店の「ばざーら」さんからの修理依頼品である。使用真空管は、UY−56(再生検波)、3Y−P1(電力増幅)、KX−12F(整流)であるが、オリジナルはソケットの刻印からナス管のUY−227、UY−247B、KX−112Bであったらしい。


修復前の内部様子。状態は年代相応であろうか?幸いな事に、マグネチックスピーカーのコイルは断線していなかった。


内部には、ご覧の様に昭和10年3月22日付けの、中部電力の試験証が貼られていた。


修復前のシャーシー上部の様子。錆がひどい状態である。


修復前のシャーシー内部の様子。並三ラジオなのに、部品が大型なので結構混雑している。アンテナコイルがシャーシー内部に取り付けられているが、元々はシャーシー上部に配置されていた物を、交換された様だ。アンテナコイルをシャーシー内部に配置すると、シャーシーでシールドされて、感度が悪くなるのでシャーシー上部に戻す事にした。真ん中に大きく白く見えるのが断線しているチョークコイル、左側の大きい四角の物は、ブロック型ペーパーコンデンサーである。


不要な部品を取り外すと、ご覧の通りすっきりした。


修復が完了したシャーシー内部の様子。段間の低周波トランスは、断線が無かったので、絶縁を試験してそのまま使用することにした。電源トランスも絶縁試験して、そのまま使用することにした。どちらも若干の不安が有るが・・・。


修復が完了したところ。戦前の並三ラジオなんで、感度は悪いし音も小さいですが、独特の音を聞かせてくれます。大切に使ってくださる方に、購入頂ければ幸いです。

以上、交換部品代は約2,800円、修復作業時間は約8時間でした。

誠文堂新光社から2007年11月16日に発売の「真空管ラジオ製作ガイド」と、2008年12月17日発売の「ゲルマラジオ製作徹底ガイド」と、2009年10月22日に発売の「真空管レフレックスラジオ実践製作ガイド」と、CQ出版社から2010年4月19日発売の「CQハムラジオ」の一部を執筆させて頂きました。是非とも1冊ご購入をお願いします!

inserted by FC2 system