テレビアン「M−44」修復記


(続)真空管ラジオ修復記 > 戦前〜戦時中〜終戦直後のラジオその3 > テレビアン「M−44」修復記

修理を依頼された、山中電機(TRLEVIAN)の「M−44」 の修復をして見ました。

このラジオは過去にも2台の修理の経験があります。詳しくは1台目2台目をご覧下さい。


修復前の様子。使用真空管は、UY−24B(再生検波)、UX−26B(低周波増幅)、UX−12A(電力増幅)、KX−112B(整流)である。昭和10年頃のラジオである。この形式のラジオは売れたのであろうか?これで3台目の修理である。回路図も前回の修理時に作っている。


修復前の内部様子。整流管だけがナス管なので、他は交換されたのであろうか?内部は所々配線が外れているらしい。電源コードは依頼主の方が切断したとの事でした。


銘板もご覧の通り綺麗に残っている。どちらかと言えば、トランスの銘板だが・・・!


修復前のシャーシー上部の様子。依頼主の方が、有る程度清掃したそうで、埃は少ないが、全体的に錆が出ている。シャーシー上部に有るはずの段間の低周波トランスが、断線したのか外されCR結合になっている様だ。(詳しくは2台目の修理記録を!)またアンテナコイル(並四コイル)も交換された物らしいが、残念ながら、あちこち断線している。


修復前のシャーシー内部の様子。中央に大きく四角く見えるのは、ブロック型のペーパーコンデンサーである。この大きさで容量は僅か9μFである。


マグネチック・スピーカーのコイルは、残念ながら断線していたので、巻き直しが必要である。巻き直しは結構、面倒な作業である!


シャーシーは再塗装の為に、完全に分解しました。サンダーで錆を落としてから再塗装に掛かります。他の部品も洗える物は洗って、再塗装に備えます。


シャーシーの再塗装が完了したところ。綺麗になりましたね!


再塗装した主要部品を取り付けたところ。これから配線に取りかかります。どうです?前の写真と比べてみてください!


キャビネットは洗浄し、サランネットを張り替え、飾り金具も再塗装してご覧の様に大変綺麗になりました。


マグネチック・スピーカーのコイルは巻き直しが完了しました。このボビンは一体型ではなく、巻線機に取り付けられない構造だったので、手巻きで巻いたので時間と手間が掛かりました。


電気配線の修復が完了したところ。すべての配線をやり直し、断線していた低周波トランスも取り付けました。再生コイルも断線箇所を修復しました。部品も新品なんで安心です。残念ながら、やはり電源トランスの絶縁が20MΩ程度と干低いです。(電気用品安全法では10MΩ以上なんで、大丈夫なんですが・・・。)


修復が完了したところ。若干、再生が強めで発振気味である。真空管は試験しましたが、概ね良好でした。アンテナコイルが交換されているのが原因か、受信周波数範囲が若干狭い様だ。それでは蘇った戦前のラジオの音を、お楽しみください。


「ラヂオ科学」昭和11年1月号に、このラジオの広告を見つけました。当時の定価は27円です。

以上、修復作業時間は約15時間、交換部品代は約4,200円でした。

誠文堂新光社から2007年11月16日に発売の「真空管ラジオ製作ガイド」と、2008年12月17日発売の「ゲルマラジオ製作徹底ガイド」と、2009年10月22日に発売の「真空管レフレックスラジオ実践製作ガイド」と、CQ出版社から2010年4月19日発売の「CQハムラジオ」の一部を執筆させて頂きました。是非とも1冊ご購入をお願いします!

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