東京電機産業「6S−250」修復記


(続)真空管ラジオ修復記 > 戦後ST管スーパーラジオその5 > 東京電機産業「6S−250」修復記

修理を依頼された、東京電機産業の組み立てキット「6S−250」 の修復をして見ました。


修復前の様子。子供の頃から父とよく聞いていた思い出のラジオだそうである。短波の目盛りも付いているが、短波は受信出来ない。使用真空管は、UZ−6D6(高周波増幅)、6W−C5(周波数変換)、UZ−6D6(中間周波数増幅)、6Z−DH3A(検波&低周波増幅)、UZ−42(電力増幅)、KX−80K(整流)、EZ−6E5(同調指示)の高一ラジオである。


修復前の内部様子。家に囲炉裏(いろり)があったそうで、その煙で燻されて、かなり汚れている。鴨居の所に鎮座していたラジオだそうだ。フィールドダイナミックスピーカーがついているが、案の定出力トランスの1次側の巻き線が断線していた。この頃のラジオの出力トランスは、巻き線の材質が悪く、半数以上は断線している。さっそく新品に交換した。


シャーシーの銘板は、東京電機産業と記載がある。形式名は6S−250と記載があった。


キャビネットにはサンエスキャビネットと書いてある。やはり戦後直後に流行った流行った自作の組み立てラジオであろう。


修復前のシャーシー上部の様子。全体的に燻されており、汚れていて汚い!ヒューズは3Aの物がついている。これでは大きすぎて危険である。通常は1A程度で十分です。


修復前のシャーシー内部の様子。事故や改造の跡は見られない。組み立て品にしては、半田付けも上手で綺麗に組み立てられている。依頼主の方のお話だと、地元の電気屋さんに組み立ててもらったラジオだそうです。電源コードは交換されたのか、最近のビニールコードが付いている。


シャーシーをひっくり返すとご覧の様に後ろに取り付けられた金具できちんと立つ様になっており、組み立てや修理がしやすい構造になっている。


汚かったキャビネットは綺麗にし、分解できる部分は水洗してさっぱりしました。


電気配線の修復が完了したところ。全ての抵抗とコンデンサーを交換しました。音量調整ボリュームは抵抗値が3倍以上になっていたので、交換しました。各種絶縁抵抗試験も良好でした。危険な配線類も交換しました。ダイアル糸も張り直ししました。これで安心して使用出来ます!いろいろと調整すると完成です。


修復が完了したところ。各種試験&調整後、問題無さそうなので完了とする。マジックアイは残念ながら光らないので、新品にて撮影してあります。子供の頃によく聴いたというラジオ、大切にお使いくださいね!

以上、交換部品代は約4,200円、修復作業時間は約10時間でした。

誠文堂新光社から2007年11月16日に発売の「真空管ラジオ製作ガイド」と、2008年12月17日発売の「ゲルマラジオ製作徹底ガイド」と、2009年10月22日に発売の「真空管レフレックスラジオ実践製作ガイド」と、CQ出版社から2010年4月19日発売の「CQハムラジオ」の一部を執筆させて頂きました。是非とも1冊ご購入をお願いします!

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