トリオ「FM−108」修復記


(続)真空管ラジオ修復記 > 自作ラジオとその他のラジオその3 > トリオ「FM−108」修復記

修理を依頼された、春日無線工業(TRIO)の「FM−108」 の修復をして見ました。


修復前の様子。FM放送開始初期の1960年頃のチューナーである。使用真空管は、17EW8(局部発振&周波数変換)、12BA6(中間周波数増幅)、12BA6(中間周波数増幅)、35W4(整流)である。これより初期のFM−100はトランス付きでダイオード整流だったが、この機種は価格を抑える為かトランスレスで整流管仕様になっている。受信周波数範囲も以前のは80〜90MHzだったが、このモデルは76〜90MHzと現在のバンド幅が受信出来る。


修復前の内部様子。内部は年代相応の埃だらけ!


修復前のシャーシー上部の様子。かなり汚れている。初段部分はユニット化されている。エアガンで埃を吹き飛ばして、綺麗にします。


修復前のシャーシー内部の様子。この頃は信頼性の低いペーパーコンデンサーではなく、オイルコンデンサーが使われている。恐ろしい事に、ヒューズが付いていない。ケミコンの漏洩電流を測定したら、流れる流れる・・・。大変危険な状態でしたので、交換する事にします!


前面パネルを裏面から見た様子。1枚目の写真のパネル前面に模様のように見えるのは、この様に塗装が剥げかかっているのが原因だった。


キャビネットは完全分解水洗してさっぱりしました。前面パネルは剥げかかっている塗装を完全にはがして、再塗装する事にしました。塗装を綺麗に剥がすのが大変でした。


前面パネルは、再塗装が完了して綺麗になりました。


何故か右側出力側が、ピンジャックから直接コードが出されピンプラグ出力になっているが、改造されているのか穴を見ると元々こんな仕様なのか、解らない??どうせこの頃のFMチューナーはモノラル出力なので、どちらでも接続しやすい方を使ってください。ステレオ放送を再生する場合は、別に外付けでMPX(マルチプレックス)アダプターが必要ですが、今では入手困難です。


修復が完了したシャーシー内部の様子。オイルコンデンサーと、漏洩電流の多かったケミコンを交換し、ヒューズも取り付けました。球切れだった豆球も交換しました。これで完成と思ったら音が全然出ない。原因は、FMとPHONOの切り替えのスライドスイッチの接触不良だった。分解して接点を磨いて見事復活!


修復が完了したところ。FMチューナーですので、アンプを付けないと音は出ません。貴重な初期のFMチューナーです。大切にお使いくださいね。

以上、交換部品代は約1,200円、修復作業時間は約6時間でした。

誠文堂新光社から2007年11月16日に発売の「真空管ラジオ製作ガイド」と、2008年12月17日発売の「ゲルマラジオ製作徹底ガイド」と、2009年10月22日に発売の「真空管レフレックスラジオ実践製作ガイド」と、CQ出版社から2010年4月19日発売の「CQハムラジオ」の一部を執筆させて頂きました。是非とも1冊ご購入をお願いします!

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