メーカー不詳「大型電蓄」修復記2


(続)真空管ラジオ修復記 > 自作ラジオとその他のラジオその3 > メーカー不詳「大型電蓄」修復記2

修理を依頼された、メーカー不詳の「大型電蓄」 の修復をして見ました。


修復前の様子。15年前頃に鳴らしたきりという、父親が所有していたという大型電蓄が修理にやってきた。使用真空管は、UZ−6D6(高周波増幅)、6W−C5(周波数変換)、UZ−6D6(中間周波数増幅)、6Z−DH3A(検波&低周波増幅)、UZ−42(電力増幅)、KX−80(整流)、EZ−6E5D(同調指示)である。以前に修理したこの電蓄と似ている。なんと、マジックアイは大変貴重なEZ-6E5Dが付いている。果たして光るでろうか?


修復前の内部様子。若干の埃が見られるが、汚れはそれほどではない。とにかく大きくて重たいのである。荷物を送るのも梱包するのも大変だ。やれやれ。


修復前のシャーシー上部の様子。シャーシーがスター製なので、当時流行った組み立て品らしい。果たして内部の出来は・・・?


スピーカーはオンキヨー製のフィールドダイナミックスピーカーが付いている。フィールドコイルも出力トランスも断線していなかったが、出力トランスは断線が予想されるので、交換する事にする。


パネル部分。貴重なマジックアイの6E5Dであるが、蛍光体が灰色に焼けているので、残念ながらあまり光らないであろう?


ターンテーブル部分。左下のツマミで回転数の微調整が出来る。中央に回転数を正確に合わせる60Hz地区用のチャートが付いている。蛍光灯の下であわせる必要があります。当地は50Hz地域なんで、使えません!もう入手出来ないSP盤用のレコード針の状態が気になるところだが、新品で50本以上の在庫があるとの事で一安心である。


ターンテーブルのモーター。かなり大型である。馬力は有りそうで、ぐわんぐわん回転しそうだ!モーターは大丈夫であろうか?


修復前のシャーシー上部の様子。エアーガンで埃を飛ばし、雑巾で汚れを落としました。真空管は試験したところ、出力管がかなり劣化していた。


修復前のシャーシー内部の様子。プロが組み立てた様に、大変綺麗に部品が配置されている。


貴重なマジックアイのEZ-6E5Dは、ご覧のとおり残念ながらほとんど光らず!


修復が完了したシャーシー内部の様子。安全の為に、すべての抵抗とコンデンサーを交換しました。ボリュームはガリがあったので交換しました。ダイアル糸が滑ってうまく回らないので、テンションを上げて良好になった。動作確認の為に、導通を計ったら導通がない。原因はヒューズホルダーの接触不良で交換。90/100Vの2連のホルダーが入手出来ないので、100V専用のホルダーを取り付けた。通電し、やっとラジオ・アンプ部分の動作確認がとれた。ここまでずいぶん苦労した。ところでこの回路は、フィールドダイナミックスピーカー使用なんで、トランスのB電圧が360Vと高い。また整流管がKX−80と直熱管なので、他の真空管が暖まるまでB電流が流れないので、B電圧が通電直後に500V近くまで上昇する事になる。よって、ケミコンは500V耐圧の物を使用しなければならない。本当は、整流管は傍熱管のKX−80Kを使った方が、安心なのであるが・・・。


今度はターンテーブル部分の動作確認に移る。と思ったら、こちらも導通がない・・・。


原因はモーターの接点の接触不良。接点を磨き、導通が確認出来たが・・・。


導通が確認出来たが、回らず。電流は確かに流れているが・・・。モーターを取り外して確認する事に。これが不良で回らないと、交換部品が無いので、修理は不可能です。さ〜て、どうなるか?


修復が完了したところ。モーターは分解し、注油してやっと回転する様になった。ターンテーブルのスイッチを調整し、レコード終了後回転が止まる様に調整しました。レコード再生は、専用の低周波増幅段が付いていないので、音が小さめで迫力がないです。本当ならUY−76にてもう1段増幅すれば良いのですが・・・。各種試験&調整後、問題なさそうなので完了とする。大切にお使いくださいね!

以上、交換部品代は約6,500円、修復作業時間は約15時間でした。

誠文堂新光社から2007年11月16日に発売の「真空管ラジオ製作ガイド」と、2008年12月17日発売の「ゲルマラジオ製作徹底ガイド」と、2009年10月22日に発売の「真空管レフレックスラジオ実践製作ガイド」と、CQ出版社から2010年4月19日発売の「CQハムラジオ」の一部を執筆させて頂きました。是非とも1冊ご購入をお願いします!

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