クラウン「412型」修復記
(続)真空管ラジオ修復記 > 戦前〜戦時中〜終戦直後のラジオその4 > クラウン「412型」修復記
修理を依頼された、日本精器(CROWN)の「412型」 の修復をして見ました。
修復前の様子。使用真空管は、UY−27A(再生検波)、UX−26B(低周波増幅)、UX−12A(電力増幅)、KX−12B(整流)である。
修復前の内部様子。それにしても刺さっている真空管の順番がめちゃくちゃであった。骨董屋が適当に刺したみたいだ。この状態で通電して、26Bのヒーターが切れていないか心配である。
銘板はごらんのとおりである。昔のラジオはトランスの容量を記載していたのが多い。
修復前のシャーシー上部の様子。それなりに汚れて錆もある。
修復前のシャーシー内部の様子。改造や事故の跡はなく、全くのオリジナルである。
マグネチックスピーカーのコイルは断線していませんが、この頃の巻き線は材質が悪く断線の恐れがあるので、0.1mmのUEWにて巻き直ししました。
電気配線の修復が完了したシャーシー内部の様子。すべての抵抗やコンデンサー類を交換しました。一部配線もやり直しました。チョークコイルと低周波トランスも交換しました。
ところが困った事が解りました。バリコンの羽が錆びていて膨張し、隣の羽とショートしてうまく回りません。困ったものだ・・・。
真空管を試験したところ、貴重なUX−12Aはヒーターが導通があるが、点火せず。(空気が漏れている?)また、これも貴重なUX−26Bは真空管試験器で検査したところ、エミッションが針が振れない程低い。(写真参照)両方ともベースの半田付けも確認したのですが・・・。とても残念です!戦前の真空管は、大変貴重で高価です・・・!
羽が錆びてショートして動きが悪かったバリコンは、超音波洗浄し錆びを落としてきれいにし、羽を修正してうまく動く様になりました。
修復が完了したところ。サランネットを張り替えたので、綺麗な印象になりました。戦前の並四受信機なので、感度は悪いですが、懐かしい音を聞かせてくれます。左下のつまみが電源、右下は再生調整です。介護施設でお年寄りの方に音を聞かせたいとの事でしたので、お年寄りの方々が懐かしんでくれると良いですね!
以上、修復作業時間は約14時間、交換部品代は約11,100円でした。
誠文堂新光社から2007年11月16日に発売の「真空管ラジオ製作ガイド」と、2008年12月17日発売の「ゲルマラジオ製作徹底ガイド」と、2009年10月22日に発売の「真空管レフレックスラジオ実践製作ガイド」と、CQ出版社から2010年4月19日発売の「CQハムラジオ」の一部を執筆させて頂きました。是非とも1冊ご購入をお願いします!
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