クラウン「形式不明」修復記


(続)真空管ラジオ修復記 > 戦前〜戦時中〜終戦直後のラジオその4 > クラウン「形式不明」修復記

修理を依頼された、日本精器(CROWN)の「形式不明」 の修復をして見ました。


修復前の様子。窓が日に焼けて、真っ黒である。使用真空管は、UZ−6D6(高周波増幅)、UZ−77(再生検波)、UZ−42(電力増幅)、KX−12F(整流)の高一ラジオである。戦前のキャビネットに、戦後改造がされた様だ。普通はUZ−6D6、UZ−6C6、6Z−P1、KX−12Fとなるはずであるが・・・。


修復前の内部様子。内部は自作のアルミシャーシーらしい。電源トランスも後付けらしい。全体的に汚れており、汚い感じである。


修復前のシャーシー上部の様子。ものすごく汚く、状態はよろしくない。やはり自作のラジオみたいだ。よく見ると、シャーシーも自分で切ったり曲げたりして自作したのかもしれない。


修復前のシャーシー内部の様子。右側にペーパーブロックコンデンサーが見える。コイルも自作っぽい?


ダイアル目盛りは洗浄してこんな感じ。下側に局型11号指定部品と書かれている。元々はキャビネットの形から、放送局型第11号受信機だったみたいだが、バリコンは2連なんでつじつまが合わない。(11号は並三なんで、単連であるから)部品を寄せ集めて、自作したっぽい。


電源トランスも何だかよく解らない。新しくした方が良いかも・・・?


内部の部品の状態も悪そうだ。全部作り直した方が、すっきりしそうであるが・・・。


シャーシーは再塗装の為に、完全分解しました。このシャーシーは、アルミ板を切って折り曲げた、自作みたいです。


シャーシーは、水洗だけでこんなに綺麗になりました。これから再塗装も実施します。


なんと電源トランスの固定フレームも自作みたいです。シャーシーには伏せて取り付けられる穴が開けられているが、何故縦に取り付けたのかは不明です。


マグネチックスピーカーは、コーン紙の破れもなく、コイルの断線もありませんでした。依頼主の方のご希望により、コイルは巻き直しを実施します。


キャビネットは再塗装の為に、塗装をサンダーで剥がして、無垢の状態になりました。板の接着が剥がれてきているので、現在再度接着しています。シャーシーの塗装とキャビネットの接着が乾くまで、次のラジオの修復を実施させて頂きます。


再塗装したシャーシーに、主要部品を取り付けたところ。元々の真空管配置は、いびつだったので、信号の流れに沿った配置に変更しました。


元々はトランスは垂直に付いていましたが、自然な水平置きに変更しました。


とりあえず電源とヒーター配線を実施し、トランスの電圧を測定してみました。B巻き線が無負荷で320Vも出ています。他の巻き線も、若干電圧は高めでした。定格電流を流せば、若干下がるでしょうけど。


キャビネットの再塗装とサランネット張り替えが完了したところ。かなり綺麗になりました。


とりあえずパイロットランプを点灯させてみました。完成後の雰囲気はこんな感じになるでしょう!


マグネチックスピーカーのコイルは断線防止の為に、巻き直しを実施しました。


これで完成かと思ったら、とんでもない不具合が。トランスを水平設置にしたら、スピーカーと当たって取り付けが出来ない事が判明した。どおりでトランスが不自然に垂直に配置されていた訳だ。


そんな訳で、トランスはシャーシー内部に配置し直しました。頭がちょこんと外に出ていますが、スピーカーとの干渉はなくなりました。


修復が完了したシャーシー内部の様子。トランスを内部に配置したので、ちょっとごちゃごちゃしている。出力管は、42では大きすぎてマグネチックスピーカーのコイルに負担が掛かるので、適切な6Z−P1に交換しておきました。


修復が完了したところ。ゲイン調整がないので、シャーシー後ろ側にボリュームを付けました。音が大きすぎる時は、後ろのボリュームを調整してください。同調つまみの下側は再生つまみです。再生調整の仕方はこちら。あんなに汚く朽ち果てたラジオが、見事に蘇りました。大切にお使いくださいね!

以上、修復作業時間は約17時間、交換部品代は約5,400円でした。

誠文堂新光社から2007年11月16日に発売の「真空管ラジオ製作ガイド」と、2008年12月17日発売の「ゲルマラジオ製作徹底ガイド」と、2009年10月22日に発売の「真空管レフレックスラジオ実践製作ガイド」と、CQ出版社から2010年4月19日発売の「CQハムラジオ」の一部を執筆させて頂きました。是非とも1冊ご購入をお願いします!

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