「B−1」修復記


(続)真空管ラジオ修復記 > 戦前〜戦時中〜終戦直後のラジオその3 > CYMOFONE「B−1」修復記

修理を依頼された、東京電気(CYMOFONE)の「B−1」 の修復をして見ました。


修復前の様子。貴重な昭和元年前後の電池管式古典ラジオである。真空管はサイモントロンのUV−199を2本使用している。木製のキャビネットは新しいので、中身だけ入れ替えた様だ。日本ラジオ博物館ここにと、ここにA型、東芝科学館ここにはC型が紹介されている。資料によると、サイモフォンA型の電源は、A電源が4.5V、B1電源が45V、B2電源が22.5Vで、コモンはA+=B−との事でした。


修復前の内部様子。グリットリークなど一部現在の部品が追加されている。誰か修理を途中で諦めたのであろうか?それにしても木製のキャビネットの作りが立派で素人の工作ではない!


銘板にはTECの文字が見られる。何と国産のラジオだった様だ。東京電気(TEC)は、現在の東芝の前身で、東京電気(株)と(株)芝浦製作所が合併して東京芝浦電気(株)となり、現在は(株)東芝に改称した。(元社員より)


修復前のシャーシー内部の様子。年代を考えると、非常に保存状態が良く、汚れも少ない。コイルや低周波トランスの断線も無い。


木製のキャビネットはプロ並みの腕の持ち主が新規に作製した様だ。


音量調整を回すと、コイルの内部にあるもう一つのコイルが回転して、電磁気的な結合の割合が可変され、音量が変わる仕組みである。


こちらは音量が最大の状態。2つのコイルの結合が最大になる。


バリコンは同調用(奥側)と、再生調整(手前)が、同軸で別々に調整できる仕組みで、無駄が無い設計である。


こちらが貴重なUV−199という本当に初期の真空管である。1本はマツダ製、もう1本はRCA製であった。


これは私物であるが、当時のレシーバーのデッドストック品である。


Royalというメーカー製、2000Ωと記載がある。こちらは、以前のハムフェアで入手した貴重な一品である。


修復が完成したところ。レシーバーから小さな音で放送が聞こえました。受信周波数範囲は、現在の範囲より少ないみたいです。真空管の1本が調子が悪いです。グリッドリーク以外は故障がありませんでした。電源用はA電源が単一3本、B電源用は006P(9V)が5本です。

以上、修復作業時間は約8時間交換部品代は約500円でした。

誠文堂新光社から2007年11月16日に発売の「真空管ラジオ製作ガイド」と、2008年12月17日発売の「ゲルマラジオ製作徹底ガイド」と、2009年10月22日に発売の「真空管レフレックスラジオ実践製作ガイド」と、CQ出版社から2010年4月19日発売の「CQハムラジオ」の一部を執筆させて頂きました。是非とも1冊ご購入をお願いします!

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