ナショナル「AX−530」修復記


(続)真空管ラジオ修復記 > 戦後ST管スーパーラジオその4 > ナショナル「AX−530」修復記

修理を依頼された、松下電器産業(NATIONAL)の「AX−530」 の修復をして見ました。


修復前の様子。珍しいST管の短波付きのラジオである。使用真空管は、6W−C5(周波数変換)、UZ−6D6(中間周波数増幅)、6Z−DH3A(検波&低周波増幅)、UZ−42(電力増幅)、KX−80BK(整流)、EZ−6E5(同調指示)である。左側のダイアルは、短波受信用のバーニアダイアルである。


修復前の内部様子。年代相応の汚れである。キャビネットには、若干塗装の剥げが見られる。


回路図も、ご覧の様に残っている。


マジックアイは、全然光らず!辺りを真っ暗にして、この程度!最近はマジックアイは5,000円程度に高価になってきたので、このままとします。


修復前のシャーシー上部の様子。ものすごい埃が内部に溜まっていました。エアガンで埃を吹き飛ばし、すっきりしました。ヒューズが飛んでいたので、何か事故があったのであろうか?


修復前のシャーシー内部の様子。修理や改造の跡は見られない。真空管は,すべてオリジナルと思われるナショナル製である。ダイアル糸が、メインチューニングとバーニアチューニング、両方切れている。よく見ると、張り替えられた糸らしい。出力トランスの1次側巻線が断線している。この頃の出力トランスは、巻線の材質が悪くよく断線してます。バーニアチューニングは、戦前の再生調整用の豆バリコンみたいな一枚羽の小さなバリコンが、微調整用にOSC側のバリコンに並列に付いています。


修復が完成した、シャーシー内部の様子。全ての抵抗類と、コンデンサー類を交換しました。電源コードや、ナショナルラジオ特有のパイロットランプの配線も交換してあります。電源トランスの出力のエンパイアチューブも、劣化していましたので交換しました。エミ減で劣化していた出力管のUZ-42も、交換してあります。ダイアル糸を張り直して各種試験と調整後、完成です。


修復が完了したところ。(マジックアイは新品にて撮影)修理にずいぶんと、手間・暇が掛かりました。短波放送のバーニアダイアルが超便利ですが、他のこれ以降のラジオではこの機能は見たことがありません。まだ短波放送の受信に慣れていない時代だったのでしょうか?各種調整試験後、問題なさそうなので完了とする。大切に末永く使ってくださいね。

以上、交換部品代は6,300円、修復作業時間は約13時間でした。

誠文堂新光社から2007年11月16日に発売の「真空管ラジオ製作ガイド」と、2008年12月17日発売の「ゲルマラジオ製作徹底ガイド」と、2009年10月22日に発売の「真空管レフレックスラジオ実践製作ガイド」と、CQ出版社から2010年4月19日発売の「CQハムラジオ」の一部を執筆させて頂きました。是非とも1冊ご購入をお願いします!

inserted by FC2 system