ビクター「7AW−1」修復記


(続)真空管ラジオ修復記 > 戦後ST管スーパーラジオその4 > ビクター「7AW−1」修復記

修理を依頼された、日本ビクター(VICTOR)の「7AW−1」 の修復をして見ました。


修復前の様子。珍しいST管の短波付き4バンドラジオである。一応鳴るらしいが、安全の為に修理と点検にやって来た。使用真空管は、UZ−6D6(高周波増幅)、6W−C5(周波数変換)、UZ−6D6(中間周波数増幅)、6Z−DH3A(検波&低周波増幅)、UZ−42(電力増幅)、KX−80(整流)、EZ−6G5(同調指示)である。回路図は、ラジオ技術1950年6月号に掲載が有るらしい。高周波1段増幅であるが、この増幅段は非同調の回路である。マジックアイは珍しい6G5を使用しているが、閉じる感度がお馴染みの6E5と違うだけで(6E5の方が閉じ易い)、基本的には同じである。


修復前の内部様子。年代の割には、埃などが少ない。簡単な清掃がされているらしい。一応鳴るという事で致命的な故障はないであろうが、安全の為に点検修理することは大変大事な事です。


修復前のシャーシー上部の様子。大きなブロック型オイルコンデンサーが2個見られる。


修復前のシャーシー内部の様子。4バンドで、かなり複雑である。修理や改造の跡は見られない。


内部には、黒くなったコンデンサーなどが見られ、これで良く鳴ったな〜と感心する。僕には恐ろしくて通電は出来ません!


珍しい6G5/6U5のマジックアイは、明るい環境で、この程度の輝度です。この程度光ればまあまあなんですが・・・、。ただし、グリッドにバイアス掛けても閉じませんでした。貴重な球なんですが、不良みたいです。非常に残念です。ベースの半田不良でしょうか?


修復が完了したシャーシー内部の様子。全てのペーパーコンデンサーと抵抗類を交換しました。危険な高圧の掛かる配線も交換しました。ボリュームは3極投入の特殊な接点なので、交換出来ず、接点復活剤を塗って清掃し、ガリも無くなりました。ダイアル照明の豆球は、希望により明るめの球に交換しました。電源コードも、今となっては在庫限りの袋打ちコードと丸形プラグに交換しました。出力トランスも断線防止の為に、新品に交換しました。


修復が完了したところ。マジックアイは新品のEZ−6G5に交換しました。シャーシーの後ろ側に消灯用のスイッチを付けましたので、普段は消灯して、貴重なマジックアイの輝度低下を防止して、大切に末永くお使いくださいね!

以上、修復作業時間は約15時間、交換部品代は約11,000円でした。


誠文堂新光社から2007年11月16日に発売の「真空管ラジオ製作ガイド」と、2008年12月17日発売の「ゲルマラジオ製作徹底ガイド」と、2009年10月22日に発売の「真空管レフレックスラジオ実践製作ガイド」と、CQ出版社から2010年4月19日発売の「CQハムラジオ」の一部を執筆させて頂きました。是非とも1冊ご購入をお願いします!

inserted by FC2 system