シャープ「6N−178」修復記その2


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修理を依頼された、早川電機工業(SHARP)の「6N−178」 の修復をして見ました。


修復前の様子。上部にシールが貼られていたり、周波数表示板にマジックで放送局が記載されていたりしている。前面に、マジックアイの消灯用のスイッチが付いているが、輝度は残っているだろうか不安である?使用真空管は、12BE6(周波数変換)、12BA6(中間周波数増幅)、12AV6(検波&低周波増幅)、30A5(電力増幅)、19A3(整流)、12Z−E9(同調指示)である。


修復前の内部様子。真空管は、水平に配置されるタイプである。


裏蓋には、確かにシャープと記載があるが、このページにはナショナルと記載があるが、写真を見る限りシャープの間違えみたいだ。


キャビネットの横には、イヤホンジャンクが付いている。また木製キャビネットには、たくさんの傷が付いているので、再塗装も依頼された。


修復前のシャーシー上部の様子。年代相応の埃が積もっていた。真空管を試験したら、周波数変換の12BE6がヒーター切れだったし、中間周波増幅の12BA6は、かなりのエミ減だった。


修復前のシャーシー内部の様子。修理や事故の跡はない。


前面のプラスチックパネルは、きれいに洗浄しすっきりしました。


珍しいマジックアイの12Z-E9の輝度は、ごらんのとおりまあまあである。消灯用のスイッチがあるおかげだ。トーヨー製が付いている。それにしてもこのラジオは、マジックアイを外すのにホルダーごと外さないと交換できない不便な設計である。


キャビネットは再塗装の為に、サンダーで塗装をはがして無垢の状態になりました。


電気回路の修復が完了したシャーシー内部の様子。全てのペーパーコンデンサーを交換しました。ブロック型電解コンデンサーも漏洩電流が多く、交換しました。スピーカーはコーン紙が破れていたので、中古の同等品に交換し、断線が予想される出力トランスは新品を付けました。真空管も2本が不良で状態の良い中古良品に交換しました。意外と状態が悪く、手間が掛かりました。


このラジオのPU入力に、前回修理したFMチューナーを接続して聴きたいとのご希望でした。これらはどちらもトランスレス機器なので、プラグの差し込み方向によっては漏電ブレーカーが働く危険があるのと、両方の入出力インピーダンスの整合と音量調整のために、新たに絶縁入力トランスユニットを自作して、専用の接続コードを製作しました。これで両方の機器が絶縁されるので、安心安全です!


修復が完了したところ。各種試験後、問題無さそうなので完了とする。残念ながら、マジックアイはあまり光りません。これでAM、FM、SWと3バンドが楽しめます。ボリュームに多少ガリがありますが、トランスファー接点のボリュームが入手困難なので、このままとしています。ご了承ください。PU切り替えにすると音量調整ができないので、FMを聞くときは絶縁トランスに取り付けた音量調整をお使いください。では、末永く大切にお使いくださいね!

以上、修復作業時間は約11時間、交換部品代は約5,500円でした。

この同じ形式のラジオは、以前にも修理した事があります。詳しくはこちら

誠文堂新光社から2007年11月16日に発売の「真空管ラジオ製作ガイド」と、2008年12月17日発売の「ゲルマラジオ製作徹底ガイド」と、2009年10月22日に発売の「真空管レフレックスラジオ実践製作ガイド」と、CQ出版社から2010年4月19日発売の「CQハムラジオ」の一部を執筆させて頂きました。是非とも1冊ご購入をお願いします!

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