Ｌｏｅｗｅ「２７９０Ｗ」修復記その２

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修理を依頼された、Ｌｏｅｗｅの「Ａｔｌａｓ２７９０Ｗ」 の修復をして見ました。

破損前の様子。前回ドイツからeBayにて購入して破損した同型機の代替え機として、条件付きでレストア前のラジオを再度送ってもらったそうであるが、今度はキャビネットの破損はないけれど電源が入らず、ＦＭのダイアル糸も切れているとの事で、別途修理にやってきた。使用真空管は、ＥＣＣ８５＝６ＡＱ８（高周波増幅）、ＥＣＨ８１＝６ＡＪ８（局部発振＆混合）、ＥＦ８５＝６ＢＹ７（中間周波増幅）、ＥＡＢＣ８０＝６ＡＫ８（検波＆低周波増幅）、ＥＣＣ８３＝１２ＡＸ７（低周波増幅）、ＥＬ８４×２＝６ＢＱ５×２（電力増幅・プッシュプル）、ＥＭ８０＝６ＢＲ５（同調指示）である。日本ではあまり馴染みのない球構成である。回路図は前回と同じです。

破損前の内部様子。レストアしていないとの事であるので、コンデンサー類は交換しないと不安である。海外製のラジオは致命的な故障があれば、部品の関係から修理が出来ない場合もあります。基本的には大丈夫なのですが・・・。

修復前のシャーシー上部の様子。レストアされていないので、埃が積もっている。ドイツから遙々運ばれて来た埃が・・・。複雑なダイアル糸が切れており、修復は時間が掛かりそうである。

修復前のシャーシー内部の様子。全くのオリジナルである。受信周波数範囲は、長波(LW)が１５０〜３５０ＫＨｚ、中波(MW)が５５０〜１６００ＫＨｚ、短波(KW)が６〜１９ＭＨｚ、ＦＭ(UW)が８８〜１００ＭＨｚである。TA&TBのスイッチは、外部入力らしい。ピアノスイッチ類が故障していると、修理は不可能である。

切れていたダイアル糸を張り直す為に、前面のパネルを取り外したところ。随分と苦労しました。糸を張り直して動きがスムーズになるまで、かなり時間が掛かりました。

修復が完了したシャーシー内部の様子。ブロック型ケミコンは漏洩電流が多かったので、交換しました。その他は、信頼性の低いペーパーコンデンサーも使われていないので、点検しそのままとしました。このラジオも、前回と同じようにヒューズホルダーの接触が悪くて、交換しました。

マジックアイは残念ながら、あまり輝度は残っていませんでした。この6DA5は比較的入手し易いですが・・・。

修復が完了したところ。各種絶縁試験なども実施し、問題無さそうなので完了とする。プルスイッチ付きの音量調整ボリュームに若干ガリがありますが、これはもう入手できませんので、このままとしました。ドイツの高級ラジオ、大切にお使いください！

以上、交換部品代は約１，６００円、修復作業時間は約１０時間でした。

このラジオと同型のラジオは以前修理経験があります。詳しくはこちら。

誠文堂新光社から２００７年１１月１６日に発売の「真空管ラジオ製作ガイド」と、２００８年１２月１７日発売の「ゲルマラジオ製作徹底ガイド」と、２００９年１０月２２日に発売の「真空管レフレックスラジオ実践製作ガイド」と、ＣＱ出版社から２０１０年４月１９日発売の「CQハムラジオ」の一部を執筆させて頂きました。是非とも１冊ご購入をお願いします！

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