東芝「うぐいすD」修復記


(続)真空管ラジオ修復記 > 戦後mT管トランス付きスーパーラジオその1 > 東芝「うぐいすD」修復記

修理を依頼された、東京芝浦電気(TOSHIBA)の「うぐいすD」 の修復をして見ました。


修復前の様子。使用真空管は、6BE6(周波数変換)、6BA6(中間周波数増幅)、6AV6(検波&低周波増幅)、6AR5(電力増幅)、5M−K9(整流)、6Z−E1(同調指示)である。今となっては貴重な5M−K9が使われている。


修復前の内部様子。(真空管は抜いた状態。)新しい事もあり、埃もなく良好であるが、シャーシー下部が少し錆びてきてきている。状態は良さそうである。


付属していたマツダのマジックアイの6Z−E1はマジックアイテスターで試験したところ、全く光らず。これだけ全く光らないのも、珍しい。それだけ長時間使われた証拠である・・・。ほのかにオレンジ色なのは、ヒーターの光である。


依頼主の方に別途交換様に用意して頂いた新品のフリップス製の6E5は、これだけ光り動作もOKでしたので、これに交換する事にする。マジックアイは大変貴重なので、依頼主の方のご要望により消灯用のスイッチも新たに取り付ける事にする。


修復前のシャーシー上部の様子。汚れも少なく、状態は大変良い。ダイアル糸の可動部分の動きが悪い。バリコンの防振用のゴムが劣化しており、代用品として、水道のパッキンが最適であるので、パッキンを挟んで固定した。バリコンのゴムは、経年変化で溶けてしまっている物が多いです。


修復前のシャーシー内部の様子。出力管のカップリングコンデンサーのみペーパーコンデンサーに交換されている。他は修理や改造の跡は見られない。電源1次側のペーパーコンデンサーが、絶縁不良で発熱し、パラフィンが溶け出している。


キャビネットも完全分解し、内部のサランネットも張り替えを実施しました。前面のパネルも洗浄し金色のアクセントラインも再塗装しました。東芝のエンブレも外して洗浄し磨き上げて、綺麗になりました。キャビネットは万能ワックスクリーナーで綺麗に磨きました。四隅の合わせ目が少し浮かび上がっているので、接着剤で補強してあります。


修復が完成したシャーシー内部の様子。全ての抵抗とコンデンサーを、規格に余裕をもった新品に交換しました。ブロック型ケミコンはケミコンテスターで漏洩電流をテストして良好でした。依頼主様のご希望により、マジックアイの消耗を防ぐための消灯用のスイッチも取り付けました。普段は消灯して、貴重なマジックアイの輝度低下を防止してお使いください!ヒューズは1.5Aの物が付いていましたが、少し大きすぎるので、安全の為に0.8Aの物に交換しておきました。ボリュームはガリ防止の為に接点復活剤を塗布し、ロータリーSWは接点を清掃し、真空管ソケットは接触不良を防止の為にバネを強めました。各真空管は、足の曲がりを専用治具で修正しました。ダイアル可動部分は潤滑剤を塗って、動きがスムーズになりました。各種絶縁試験も実施しましたが、結果も良好でした。安全の為に、電源コードもアンテナ線も交換してあります。


修復が完了したところ。各種調整後、1時間程度テストして問題無さそうなので完了とする。思い出のラジオ、是非とも末永く大切にお使いくださいね!

以上、修復作業時間は約10時間程度、交換部品代は約2,500円でした。

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