ナショナル「UA−720」修復記2


(続)真空管ラジオ修復記 > 戦後mT管トランス付きスーパーラジオその2 > ナショナル「UA−720」修復記2

修理を依頼された、松下電器産業(NATIONAL)の「UA−720」 の修復をして見ました。
(このラジオの名称は、LA−720と思っていたら、UA−720の間違いでした!)


修復前の様子。使用真空管は、6BA6(高周波増幅)、6BE6(周波数変換)、6BA6(中間周波数増幅)、6AV6(検波&低周波増幅)、6AV6(低周波増幅)、6BQ5(電力増幅)、6CA4(整流)、6CD7(同調指示)で、整流管は珍しい大型の6CA4を使用した8球使用の3バンド高周波1段増幅、Hi−Fi仕様の大型最高級ラジオである。中波帯に加え、短波帯は2.2MHz〜7MHz・7MHz〜22MHzの2バンドで、広い周波数をカバーする。


修復前の内部様子。依頼主の方が通電試験したが、音が出なかったそうです。


内部でバーアンテナが回転して、最良の方向を向ける事が出来る仕組みです。


貴重なマジックアイ6CD7の輝度は、マジックアイテスターで確認したところ、残念ながら真っ暗にしてこれ位光る程度である。


修復前のシャーシー上部の様子。埃をエアガンで吹き飛ばし、清掃し綺麗になりました。ナショナルラジオ特有の、豆球の配線がボロボロで、危険な状態でしたので、早速全て配線し直しました。


修復前のシャーシー内部の様子。修理や事故の跡は見られない。電源平滑用のチョークコイルが残念ながら断線していた。


内部のチューブラー型のケミコンはご覧の様に破裂しており、危険な状態であった。


修復が完了したシャーシー内部の様子。危険なペーパーコンデンサーや、破裂していたケミコン等を全て交換しました。ブロック型ケミコンは、漏洩電流も少なく良好。電源の平滑用のチョークコイルが断線で交換した。パイロットランプもすべて交換してあります。


大変貴重な2現象のマジックアイ6CD7も交換し、明るく光っています。HiFi(Wide)モードでは消えるので、普段は消して貴重なマジックアイの輝度低下を防止してお使いください。


修復が完了したところ。しばらく鳴らしていると、突然音がしなくなった。原因は出力管の6BQ5の内部の電極の接触不良らしい。交換して解決。細かな調整をして完了とする。受験勉強の時に深夜放送を聴いたという思い出のラジオ、是非とも大切にお使いください!

以上、修復作業時間は約13時間、交換部品代は約12,000円でした。


その後、依頼主の方から、ラジオの様子をお送り頂きました。このラジオで深夜放送を聴いて受験勉強をしていた昔を思い出して、ラジオを楽しんでいるそうです。大切に使って頂き、ありがとうございました。

このラジオはもう1台修理経験があります。詳しくはこちら

誠文堂新光社から2007年11月16日に発売の「真空管ラジオ製作ガイド」と、2008年12月17日発売の「ゲルマラジオ製作徹底ガイド」の一部を執筆させて頂きました。是非とも1冊ご購入をお願いします!

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