真空管ラジオの修理について2
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まず、はじめにお読みください!
最近のレトロブームの影響で、古い真空管ラジオを入手して修理しようと計画している方も多いと思います。ここでは簡単にヴィンテージ真空管ラジオの修理方法を述べさせていただきます。
真空管ラジオを私に修理依頼される方は、こちら。
画面が大きくなって恐縮ですが、下記標準の5球スーパー回路図に沿って、修理の勘所を説明したいと思います。
1.まず、ペーパーコンデンサーはすべて交換してください。ケミコンもすべて交換すると安心です。抵抗類は信頼性はコンデンサー類に比べると高いのですが、断線や抵抗値のずれた物も結構ありますので、出来るだけ交換した方が安心です。使用している部品の電力や耐圧、注意すべき点などを下記に表でまとめてみました。修理するうえで参考にしてください!回路は一例ですので、若干異なっている場合もありますが、そんなに気にしなくて大丈夫です。抵抗やコンデンサーの値は、そんなにシビアではありません。電力と耐圧だけは、十分余裕を持たせた物に交換してください。赤文字の部品は、特に注意して必ず点検してください!抵抗やコンデンサー類は、すべて新品に交換する事をお勧めします!ケミコンは漏洩電流が大きい物は、発熱して破裂の可能性が大きいですから、ケミコンテスターで漏洩電流を測定しますが、無い場合は安全の為に交換しましょう!小容量のブロック型ケミコンは入手が困難ですから、チューブラー型のケミコンを内部に取り付けましょう。その場合はブロック型ケミコンの配線は、必ず外しておきましょう。
部品番号 | 部品名称 | 値(規格) | 電力・耐圧・等 | その他、注意事項 |
TUBE1 | 整流管 | 6X4 / KX-80K | − | ソケット接触不良注意 |
TUBE2 | 電力増幅管 | 6AR5 / UZ-42 | − | ソケット接触不良注意 |
TUBE3 | 検波&低周波増幅管 | 6AV6 / 6Z-DH3A | − | ソケット接触不良注意 |
TUBE4 | 中間周波数増幅管 | 6BA6 / UZ-6D6 | − | ソケット接触不良注意 |
TUBE5 | 周波数変換管 | 6BE6 / 6W-C5 | − | ソケット接触不良注意 |
TUBE6 | 同調指示管 | EZ-6E5 / 6Z-E1 | − | 輝度確認 |
R1 | 酸化金属皮膜抵抗 | 3KΩ | 5W | 電力注意 |
R2 | 酸化金属皮膜抵抗 | 510Ω | 2W | 電力注意 |
R3 | 酸化金属皮膜抵抗 | 30KΩ | 1W(1/2W) | − |
R4 | 酸化金属皮膜抵抗 | 240KΩ | 1W(1/2W) | カーボン抵抗可 |
R5 | カーボン抵抗 | 5.1MΩ | 1/2W | − |
R6 | 酸化金属皮膜抵抗 | 51KΩ | 1W(1/2W) | − |
R7 | 酸化金属皮膜抵抗 | 15KΩ | 5W(3W) | 電力注意 |
R8 | カーボン抵抗 | 1MΩ | 1/2W | − |
R9 | 酸化金属皮膜抵抗 | 300Ω | 1W(1/2W) | − |
R10 | 酸化金属皮膜抵抗 | 20KΩ | 1W(1/2W) | − |
R11 | カーボン抵抗 | 1MΩ | 1/2W | − |
C1 | ブロック型電解コンデンサー | 22μF | 350V(以上) | 耐圧注意 |
C2 | ブロック型電解コンデンサー | 22μF | 350V(以上) | 耐圧注意 |
C3 | ブロック型電解コンデンサー | 1μF | 350V(以上) | 耐圧注意 |
C4 | ブロック型電解コンデンサー | 10μF | 50V(以上) | − |
C5 | フィルムコンデンサー | 0.0047μF | AC250V(DC630V)以上 | AC安全規格要 |
C6 | フィルムコンデンサー | 0.0047μF | AC250V(DC630V)以上 | AC安全規格要 |
C7 | フィルムコンデンサー | 0.0022μF | DC250V以上 | − |
C8 | フィルムコンデンサー | 0.0022μF | DC250V以上 | − |
C9 | フィルムコンデンサー | 0.01μF | DC400V以上 | 絶縁確認 |
C10 | セラミックコンデンサー | 100pF | DC250V以上 | マイラーコン可 |
C11 | フィルムコンデンサー | 0.0047μF | DC250V以上 | − |
C12 | セラミックコンデンサー | 100pF | DC50V以上 | マイラーコン可 |
C13 | フィルムコンデンサー | 0.1μF | DC250V以上 | − |
C14 | フィルムコンデンサー | 0.1μF | DC400V以上 | 耐圧注意 |
C15 | セラミックコンデンサー | 100pF | DC50V以上 | マイラーコン可 |
C16 | フィルムコンデンサー | 0.1μF | DC250V以上 | 絶縁確認 |
VR1 | 音量調節可変抵抗器 | 500KΩ | Aカーブ | 接触不良注意 |
VR2 | 音質調節可変抵抗器 | 500KΩ | Aカーブ | 接触不良注意 |
VC1 | 同調バリコン | 430pF | 2連、トリマ付き | 羽のショート注意 |
VC2 | 同調バリコン | 430pF | 2連、トリマ付き | 羽のショート注意 |
PC | パディングコンデンサー | 700pF | − | ショート注意 |
IFT-A | 中間周波数トランス | 455KHz | − | 1次側断線注意 |
IFT-B | 中間周波数トランス | 455KHz | − | 1次側断線注意 |
OPT | 出力トランス | 7KΩ:8Ω | 2W型 | 1次側断線注意 |
PT | 電源トランス | 5球スーパー用 | − | 絶縁不良注意 |
ANT COIL | アンテナコイル | 5球スーパー用 | − | 断線注意 |
OSC COIL | 発振コイル | 5球スーパー用 | − | 断線注意 |
FUSE | ヒューズ | 0.8A(1A) | − | 電流値確認 |
2.次にコイル類の断線が無いか必ずチェックしましよう!特に出力トランスの1次側が断線し易いです。ここが切れると、出力管に無理が掛かりますので、必ず導通を確かめましょう。IFTの不良や、アンテナコイルの断線の場合、コイルの半田付け部分を疑ってみましょう!出力トランスは、秋葉原のノグチトランス等で入手が可能ですが、交換するときは、出力管のインピーダンスと出力の電力に見合った物に交換してください。下記に主なラジオ用出力管と出力トランスのインピーダンスの関係を示しますので、参考にしてください!(A1級増幅で代表的な動作条件の場合です。)
出力管名称 | 負荷インピーダンス | 出力電力 | 出力トランスタップ |
30A5 | 2.4KΩ | 1.9W | 3KΩ |
UX−2A3 | 2.5KΩ | 3.5W | 3KΩ |
35C5 | 2.5KΩ | 1.5W | 3KΩ |
50C5 | 2.5KΩ | 1.9W | 3KΩ |
35EH5 | 3KΩ | 1.2W | 3KΩ |
50EH5 | 3KΩ | 1.4W | 3KΩ |
50L6−GT | 3KΩ | 4.3W | 3KΩ |
6BM8 | 4.5KΩ | 3.3W | 5KΩ |
35L6−GT | 4.5KΩ | 3.3W | 5KΩ |
6AQ5 | 5KΩ | 4.5W | 5KΩ |
6V6−GT | 5KΩ | 4.5W | 5KΩ |
6BQ5 | 5.2KΩ | 5.7W | 5KΩ |
UY−47B | 6KΩ | 1.4W | 7KΩ |
UZ−2A5 | 7KΩ | 3.2W | 7KΩ |
6AR5 | 7KΩ | 3.2W | 7KΩ |
6F6−GT | 7KΩ | 3.2W | 7KΩ |
UZ−42 | 7KΩ | 3.2W | 7KΩ |
UX−12A | 10KΩ | 0.27W | 10KΩ |
3Y−P1 | 12KΩ | 1W | 12KΩ |
6Z−P1 | 12KΩ | 1W | 12KΩ |
12Z−P1 | 12KΩ | 1W | 12KΩ |
3.スイッチ、ヒューズ、電源コードなどの接触や絶縁をチェック後、通電してみましょう。通電には、可変電圧交流電源装置(スライダック等)で徐々に電圧を上げるのが安全なのですが・・・。ここで音が出ればしめた物。万が一音が出なかった場合は、安全を確認した後に、各部の電圧をチェックしてみましょう。回路図の電圧は若干異なっている場合がありますので、あくまでも目安とし、大幅なズレがある場合は、周囲の部品の不良や配線を疑ってみてください。真空管のソケットの接触不良や、ベースの半田付け不良の場合も多いです。トランスレスラジオを修理する場合は、感電の危険性がありますので、絶縁トランスを介して、通電すると安心です!
4.僕は安全の為に、抵抗の電力やコンデンサーの耐圧には、十分過ぎる程余裕を持った新品に、全てを交換します。抵抗はすべて元の抵抗の電力の2倍以上、セラミックコンデンサーや電源平滑用のケミコン等は500V耐圧等を、フィルムコンデンサーは耐圧1250Vの物を贅沢に使用します。安全の為に、古い配線はすべてやり直し、電源コードやパイロットランプ類も交換します。電源トランスやスイッチ類など、交換出来ない主要部品の絶縁は、工事用絶縁試験装置で絶縁をチェックして安全を確認します。その他、怪しい物は出来るだけ交換して、安全には特に気を遣うと安心してラジオを楽しむ事が出来ると思います。
5.真空管ラジオの修理について1や、真空管ラジオの修理について3も参考にしてください!
<教訓> 古いラジオの故障は1箇所と思わない事。特にコンデンサーは信用しない事。改造や修理がされた跡が見られるラジオは、念入りにチェックしましょう!古いラジオは、本当に思いがけない所が故障している場合も多いです。
各種ラジオの標準回路図はこちらからダウンロード出来ます。修理の参考にどうぞお使いください。ただしラジオの機種によって、接続や定数は若干の差があります。
不明なラジオの用語は、新ラジオ用語辞典を参照ください。
ラジオの歴史は、ラジオ歴史館を参照ください。
<注 意>
本ページは、素人修理をお薦めするものではありません。古いラジオの修理はご自分の責任において実施してください。真空管ラジオはB電源に高圧が掛かります。感電事故には十分注意してください。古いコンデンサーは破裂(爆発)する場合があります。特に注意してください!下手な素人修理は火災や破裂などの重大事故の原因になります。ご自分で修理される場合は、リスクを十分ご理解して実施してください。当方ではご自分で修理した結果に関しては、一切責任を持てません。あしからずご了承ください。
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まず、はじめにお読みください!
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