シャープ「SR−275」修復記


(続)真空管ラジオ修復記 > 戦後ST管スーパーラジオその3 > シャープ「SR−275」修復記

修理を依頼された、シャープ(SHARP)の「SR−275」 の修復をして見ました。


修復前の様子。お祖父さんの使っていたラジオで、是非とも音を聞きたいとの事で修理を依頼された。内部は清掃時に汚い抵抗やコンデンサーを取り払って、しばらく飾っていたとの事でしたが、回路図が残っているので修復は可能であろう。残念ながら、ツマミが1個欠品である。使用真空管は、6W−C5(周波数変換)、UZ−6D6(中間周波数増幅)、6Z−DH3A(検波&低周波増幅)、UZ−42(電力増幅)、KX−80HK(整流)、EZ−6E5(同調指示、欠品)である。


修復前の内部様子。(真空管は抜いてあります)配線等がすべて切られている。真空管のヒーター及び出力トランスの断線はなし。


下部には幸いな事に、回路図も貼ってあります。


修復前のシャーシー上部の様子。残念ながら、マジックアイが欠品である。ダイアル指針はかろうじて残っている。


修復前のシャーシー内部の様子。全ての抵抗&コンデンサー類や、配線が切られている。なんと電源トランスの入出力線まで切られているので、トランスも交換が必要になる。コイルの端子も解らなくなっているので、修復はかなり難しくなるであろう・・・。ここまで部品が取り払われているとは・・・。


シャーシーは汚れを落とし、電源トランスを交換し、ダイアル糸を張りました。ヒューズは以前はトランス上部に電圧切り替え式が付いていましたが、トランスを交換したので、側面に新たにヒューズホルダーを取り付けました。


修復が完了したシャーシー内部の様子。シャーシー内部は、配線が途中で切られている各ソケットの半田を全て外して、ソケットは接触不良防止の為にバネを強めて接点を磨きました。2個のボリュームはガリが有ったのと、抵抗値の経年変化によって、両方交換しました。特に中央の、PU切り替えは、3端子のスイッチ付き長軸タイプなので、特注品で高いです!電源トランスを交換してあるので、今後も安心して使用出来ます。マジックアイは消耗防止の為に、消灯用のスイッチをシャーシー後ろ側に取り付けましたので、普段は消して貴重なマジックアイの輝度低下を防止してお使い下さい!


修復が完了したところ。この頃の出力トランスはよく断線するので、念のために交換してあります。(マジックアイは撮影用に、新品を取り付けてあります)各種調整しましたが、感度はイマイチ。1時間程度テストして問題無さそうなので完了とする。大切にお使いください!


その後、依頼主の方からお使いの様子の写真を送って頂きました。喜んで頂いて光栄です。形見のラジオ、大切に末永くお使いください!

以上、修復作業時間は約14時間、交換部品代は約9,000円でした。

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