日立「S−524」修復記


(続)真空管ラジオ修復記 > 戦後mT管トランス付きスーパーラジオその2 > 日立「S−524」修復記

修理を依頼された、日立製作所(HITACHI)の「S−524」 の修復をして見ました。


修復前の様子。使用真空管は6BE6(周波数変換)、6BA6(中間周波数増幅)、6AV6(検波&低周波増幅)、6AR5(電力増幅)、5M−K9(整流)、6Z−E1(同調指示)である。この頃流行った大型の2BandのHiFiラジオである。ツマミは現代の物に交換されており、キャビネットは再塗装されており、妙に綺麗である。依頼主の方が電源を入れてテストしたところ、ハム音は聞こえるが放送が受信出来なかったらしい。変に改造や修理された物で無ければ良いが・・・。


修復前の内部様子。年代の割には綺麗な方である。


裏蓋の後ろ側には、回路図も添付されている。


マジックアイは発光が弱いが、何とか確認出来る光量である。日立製なので、ラジオ自体あまり使われていなかったことが考えられる。


修復前のシャーシー内部の様子。シャーシーには出力管と整流管のみ配置されているので、ご覧の様にすっきりしている。修理や改造の跡は見られない。


修復前のシャーシー上部の様子。回路のほとんどがプリント基板に配置されている。


修復前のシャーシー前面の様子。こちらはプリント基板のパターン面である。ボリュームなどの軸が延長されている。キャビネットも再塗装し、ツマミも付け替えて、豆電球も全て交換されているが、ラジオが鳴らなくなりオークションに出品したらしい。


修復後のシャーシー内部の様子。必要最低限の、安全上重要なコンデンサーのみ交換しましたので、交換部品はわずか4個です。


修復が完了したところ。コンデンサー4個交換と、プリント基板の全ての半田付けやり直しで鳴るようになりました。使ってすぐに出力トランスの1次巻線が断線したので、これとマジックアイも交換しました。真空管を試験したところ、出力管が異常に弱っていた。きっとカップリングコンデンサーが絶縁不良のまま使われて、プレート電流が増大し、無理が掛かって弱ってきたのであろう。この様にこの頃の真空管ラジオは鳴ると言ってそのまま使い続けると真空管に無理が掛かってぼける原因になります。是非とも修理点検してから安全に使う事を強くお薦めします!また整流管の5M−K9は現在貴重で高価ですので、大切に使ってください。その後、各種試験後問題無さそうなので完了とする。是非とも大切にお使いください!

以上、修復作業時間は約5時間、交換部品代は約4,700円でした。


その後、依頼主の方からラジオの写真をお送り頂きました。部屋を暗くして真空管ラジオの音を楽しんでいるみたいです。大切に使って頂き、ありがとうございます!


誠文堂新光社から2007年11月16日に発売の「真空管ラジオ製作ガイド」と、2008年12月17日発売の「ゲルマラジオ製作徹底ガイド」の一部を執筆させて頂きました。是非とも1冊ご購入をお願いします!

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