松下「R-48」修復記


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松下電器製作所(NATIONAL)「R−48」   オークション落札5/31、価格13,500円


昭和8年頃の発売と言われている高級機であろう。


使用真空管は ソケットの刻印によるとUY224、YU224、UY−247、KX112Bとなっていて、いずれもナス球であるが、実際にはUY−224、UY−224、UY−47B、KX−12Fがついている。2本交換されたものであるがナス球が2本あるため古さを感じさせる。


ねじ込み式電源プラグは当時の物であるが、コードが堅く劣化しているので、取替えもやむをえない。


スピーカーはマグネチックであるが、普通の物より一回り大きく(24cm)カバーまでついている。 黒塗り鉄板のシャーシーは非常に重く左側にトランスユニット、中央にバリコン、右側にコイルボックスが配置されている。 トランスユニットには電源トランスと平滑用のチョークコイルがピッチ詰めになっている。右側のコイルボックス内にはアンテナコイルと結合用のチョークコイルが入っているが、チョークコイルは切離され、CR結合となっていた。電源トランスはピッチづめになっているので、分解してみるのは諦めた。 どこを見てもヒユーズがついていない。危険防止のため内部に取り付けなければならない。 コイルボックスの上面に配線図のプレートが貼られているが、中身は少し違っていた。平滑用のチョークコイルがBマイナス側に入っている。 バリコンが異常に大きく貫禄がある、コイル類も大きい、再生用のマメコンの動きをダイヤルに表示する構造になっているが連結金具が途中で折れているため現在のところ復元できていない。 真空管の配置でUY224が両端にあるのには面食らった。通電したところ何とか音が出る。ハム音が大きいので平滑コンデンサーをチェック、6μF.3μF.2μFと3個ついているが、3μFは破裂、その他も怪しいので切り離し、ブロックコンデンサー、(10・10・2μF、1,200円秋葉原)と取り替える。2μFだけ参考の為切り離しておく。 配線は絹糸巻き線を使用しているが、まだもちそうである。コイルボックスの中にチョークコイルが切りはなされて残っていたが、とりはずした。47Bのバイアス用抵抗にさしあたり420Ωをいれておく。 スイッチ付ボリュウム(500KΩ)のスイッチがいかれているので、交換した。(秋葉原500円) キャビネットは前面紙やすり仕上げ、水彩えのぐ着色、クリヤーラッカー仕上げ、他は油絵の具着色クリヤーラッカー仕上げにした。 サランネットはオオクションで1200円で購入し張り替える。 音量が少々足りないが実用にもなるし、なかなか雰囲気のよいラジオである。

追記
(1)1週間ほど毎日スイッチを入れていたが、だんだん音が引っ込んでいき聞こえなくなってしまった。 電圧を計ってみると、検波管224のG2の電圧が0v,500KΩを交換したら音が出た、ついでに高周波増幅の224のG2に可変抵抗器をつなぎ、B電圧をかけ、最も感度のいいところを探してみた結果は抵抗値で30k?弱とでたので、60kΩを30kΩに取り替えた、これで見違えるように感度があがった。
(2)塗装についにこのラジオは箱の稜線にあたる部分が黒ずんでいる、塗装後の汚れだと思い、いろいろ工夫してみたが落ちない、後でわかったことだが、当時の塗装技術である。同じような物がもう1台手に入ったので理解できた。したがって正面の塗装は復元にはなっていない、平面部分の赤みが強すぎることと、両側の柱状の部分は上の方と同じように黒ずんでいたことになる。

以上、山形県のH.M様が修復したラジオでしたした。

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