東芝「かなりやPS」修復記


(続)真空管ラジオ修復記 > 戦後mT管トランスレススーパーラジオその2 > 東芝「かなりやPS」修復記

修理を依頼された、東京芝浦電気(TOSHIBA)の「かなりやPS、5LQ−218」 の修復をして見ました。


修復前の様子。非常にシンプルなデザインである。使用真空管は12BE6(周波数変換)、12BA6(中間周波数増幅)、12AV6(検波&低周波増幅)、30A5(電力増幅)、35W4(整流)と、オーソドックスである。


修復前の内部様子。プリント基板を利用した後期の製品である。残念ながら、依頼主の方が落とした様で、ケースがあちらこちら割れている。内部の汚れはそれほどでもないのであるが・・・。一応鳴るらしいが、感度が悪かったり発振したりと、調子が悪いらしいです。こんなラジオは一番修理が嫌らしいです!


修復前のプリント基板上面の様子。それなりに汚い!なんか怪しい雰囲気が・・・。


修復前のプリント基板下面の様子。下部にも1個ペーパーコンデンサーが付いている。


とりあえず安心して通電できる様に、すべてのペーパーコンデンサーを交換しました。ブロック型のケミコンは漏洩電流が多かったので、新品に交換してあります。抵抗も、値の大幅にずれている数本を交換してあります。パイロットランプも球切れで交換しました。電源コードも怪しいので交換しておきました。通電すると、確かに発振している様です。怪しすぎる〜っ!部品の配置や配線の引き回しで発振する事はありますが、これはプリント基板なので、そのような事は考えにくいです。


ところがです。なんと同調のバリコンへ行く配線と局部発振のバリコンへ行く配線が、見事に1周交差しています。局部発振回路と、同調回路は近づけると異常発振の原因になります。発振の原因はここらしいです。それぞれの配線をまっすぐ交差しない様に直しました。


高周波部分にも気になる事があります。なんとアンテナコイルと局部発振コイルが同じ向きで隣り合わせに立っています。同じくこの2つのコイルどおしは、離して配置するのが鉄則です。これは設計上の問題でしょうが、気になります。問題は起きなかったのでしょうか?


そんな訳で、2つのコイルの間に、シールド板を取り付けました。これだけ発振対策をしたのですから、大丈夫のハズです。


修復が完了したところ。異常発振は無くなりました。が、音が歪みます。チェックの結果、12BA6の不良で、交換したら解決。各種調整も実施しましたが、感度はあまりよろしくないかもしれません。レス機にしては珍しく、パイロットランプがダイヤル照明に使われている。問題がなさそうなので完了とする。これも悩ましい、怪しいラジオでした!

以上、修復作業時間は約6時間、交換部品代は約1,500円でした。

このかなりやPSに関しましては、かなりやのお宿の佐藤様のページでも紹介されています。こちらもご覧ください。

inserted by FC2 system