東芝「かっこうFS」修復記


(続)真空管ラジオ修復記 > 戦後mT管トランス付きスーパーラジオその2 > 東芝「かっこうFS」修復記

修理を依頼された、東京芝浦電気(TOSHIBA)の「かっこうFS」 の修復をして見ました。


修復前の様子。一応感度良く鳴るが、トーン切り替え時に大きな音がしたり、耳障りな小さな割れるような音がするという事で、修理と点検を依頼される。使用真空管は、6BE6(周波数変換)、6BA6(中間周波数増幅)、6AV6(検波&低周波増幅)、6AR5(電力増幅)、5M−K9(整流)、EZ−6E5(同調指示)である。このラジオは取り外されてゴム足が付いているのであるが、元々は10cm程度の4本足が付いていたラジオである。前面パネルに、若干の汚れがあるが、全体的には良好である。


修復前の内部様子。思ったより大きなキャビネットである。内部のスピーカーから想像して欲しい。


内部には、回路図と糸かけ図も残っている。


修復前のシャーシー上部の様子。汚れも少ない。


一応動作するとの事なので、現状確認の為に、短時間通電試験してみた。マジックアイもトーヨーの新品に交換されており、大変明るく光るのである。気になると言っていたトーン切り替え時のボツ音は、こんな物でしょう!音の歪みは、さほどひどくはない。このまま使用するのは、極めて危険なので、安全に使用出来る様に、内部の点検と修理を実施する事にする。貴重なマジックアイの輝度低下を防止する為の、消灯用のスイッチも取り付ける事にする。


シャーシーを取り出したところ。複雑な形状である。


キャビネット内部には、97年4月にM.Wさんがレストアしたらしいサインが見られる。果たしてどんなレストアがなされているのであろうか・・・?確かにマジックアイはトーヨーの新品に交換された様ではあるが・・・。


修復前のシャーシー内部の様子。ペーパーコンデンサーや抵抗類は、交換された跡は見られない。いったいどこをレストアしたというのであろうか?


真っ黒に焦げたコンデンサーも見られます。危険な状態でしたね!オークション等でも、レストア済みという文言をよく見かけますが、どんなレストアがなされたのかは怪しいです!単に外観を清掃した場合も有るようです。オークションで購入する場合は、お気を付けください。


キャビネットの前面のパネルは、完全分解し洗浄することにしました。


修復が完了したシャーシー内部の様子。安全に末永く使いたいとの希望により、すべての抵抗類とコンデンサー類を交換しました。マジックアイの輝度低下を防止する為の、消灯用のスイッチも後ろに取り付けました。普段は消灯して、お使いください!ロータリーSWの接点を磨き、ダイアル可動部分は潤滑剤を塗って、動きがスムーズになりました。


修復が完了したところ。トーン切り替え時のボツ音も無くなり、調子よくなりました。1時間程度テストして問題無さそうなので完了とする。大切にお使いくださいね!

以上、修復作業時間は約5時間、交換部品代は約2,500円でした。

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