「自作5球スーパーラジオ」修復記


(続)真空管ラジオ修復記 > 自作ラジオとその他のラジオその2 > 「自作5球スーパーラジオ」修復記

修理を依頼された、すべて部品を集めた「自作ST管、5球スーパーラジオ」の修復をして見ました。


修復前のシャーシー上部の様子。ご自分で部品を集めて製作されたそうであるが、回路が発振するという事で、修理を依頼された。使用真空管は6W−C5(周波数変換)、UZ−6D6(中間周波数増幅)、6Z−DH3A(検波&低周波増幅)、UZ−42(電力増幅)、KX−80(整流)である。かなり高価な部品を使用している様に見受けられる。両側にベニヤ板が付けられており、シャーシーをひっくり返して点検するのに、便利な様に工夫されており、非常に助かります。


修復前のシャーシー内部様子。いろいろと苦労の跡が見られる。左端の小型のトランスでDC12Vを作っている。ダイアル照明に、高輝度LEDを使用するらしい。


なんと、ダイアルエスカッションもすべて自作である。バリコンのプーリーもお菓子の缶の蓋を工夫して使用している。すばらしい工作技術をお持ちの様である。


電源トランス、チョークコイル、出力トランス等も、ノグチトランス製の高級な部品を使用している。整流管のKX−80はマジックアイの6E5の様なストレートのタイプで、あまり見かけない球である。


通電すると、ボコボコと発振音がする。この場合は高周波周りの回路が怪しい。試しに6W−C5を抜くと発振は止まる。どうもこの辺が原因らしい。この回路部分を見ると、局部発振回路と、同調回路の接近が見られる。怪しそうだ。自作ラジオは、全ての配線チェックから始めないといけないので、結構手間と時間が掛かるのである。


修復が完了したシャーシー内部の様子。OSCコイルの配置を変え、配線ミスを直し、引き回しを変更し、B電源のパスコンを追加し、発振が止まった。各種調整を実施し、やっとまともに音が出るラジオになった。ご希望により、電源コードを袋打ちコードに変更しました。回路が異常発振しているラジオを対策するのには、それなりの知識と経験や勘が必要です。いや〜、僕も苦労しましたよ。本当に!


修復が完了したところ。今後ダイヤル目盛り板や、木製キャビネットを製作予定だそうである。木工工作も器用に出来るみたいなので、期待しています。完成しましたら写真を送って頂ければ幸いです。よろしくお願いします。

以上、僕の修復作業時間は約9時間、交換部品代は約1,200円でした。


その後、依頼者の方から、完成写真とコメントを送って頂きました。(いや〜、キャビネットの出来といい、すばらしいですね!)以下は作製者の方のコメントを原文のまま掲載します。


ダイヤルの金属モールは真鍮のL金具を45度で半田付け、6E5の窓は流しのごみ留め の金具の底を切って加工しました。箱もすべて桧か良い材を使えば加工した後の仕上がり が全然違いますが高いし幅広の無垢材は中々ありません。集合材を使いましたがやはり 毛羽立ったりルーター加工で最後が欠けたり塗装の乗りも悪いですね!


 最後に大失敗をしました。ツマミの穴をもう少し欲張って穴を広げたら2cmくらい欠けて塗装もろともはがれてしまいました。苦肉の策でプラスチックの板をきって垢隠しにしました出来上がってみたらいまいちです。それとLEDを4個入れたのはいいのですが大きすぎて不恰好になってしまいました。木工には少々自身があったのですが今回は反省材料を残しながら部品もほとんど新品ですので末永く使えるラジオとして大切にしたいと思っています。

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