エルマン「HS−56」修復記


(続)真空管ラジオ修復記 > 戦後ST管スーパーラジオその3 > エルマン「HS−56」修復記

修理を依頼された、大洋無線(ELMAN)の「HS−56」 の修復をして見ました。


修復前の様子。かなり古い5球スーパーラジオである。キャビネット上部に塗装の剥げがある。使用真空管は、6W−C5(周波数変換)、UZ−6D6(中間周波数増幅)、6Z−DH3A(検波&低周波増幅)、UZ−42(電力増幅)、KX−80HK(整流)である。


修復前の内部様子。それなりの汚れであろうか?タバコのヤニで黄色くなっている。電源トランス上部の電圧切り替えのヒューズであるが、何と両方にヒューズが付いていた。ショートして発熱の原因になります。おまけに2本共2Aのヒューズで、両方共飛んでいました。通常は1Aのヒューズで十分なんですが、2Aのヒューズが飛ぶとは、重大な事故でも有ったのでしょうか!くわばらくわばら・・・!


修復前のシャーシー上部の様子。ものすごい埃をエアガンで吹き飛ばしました。錆はなく良好です。


修復前のシャーシー内部の様子。意外にすっきりしている様に見える。大きな事故や修理の跡はない。外付けで手元スイッチが取り付けられているのであるが、どうもこれは最初から付いていたらしく、右側のボリュームのスイッチはPU切り替えであり、本体に電源スイッチが付いていない珍しいラジオである。


修復が完成したシャーシー内部の様子。全ての抵抗類とコンデンサー類を交換し、被服がボロボロだった全ての配線をやり直しています。ボリュームもガリが多くて交換しました。出力トランスは、例のごとく1次側が断線していたので交換しました。劣化していた真空管6D6も交換し、感度が良くなりました。


修復が完了したところ。サランネットも張り替えて、すっきり綺麗になりました。各種調整後、テストして問題無さそうなので完了とする。思い出のラジオ、末永く大切にお使いください。

以上、修復作業時間は約15時間、交換部品代は約6,500円でした。

誠文堂新光社から2007年11月16日に発売された「真空管ラジオ製作ガイド」の一部を執筆させて頂きました。是非とも1冊ご購入をお願いします!

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