日立「H−101」修復記


(続)真空管ラジオ修復記 > 戦後ST管スーパーラジオその3 > 日立「H−101」修復記

修理を依頼された、日立製作所(HITACHI)の「H−101」 の修復をして見ました。


修復前の様子。使用真空管は、6W−C5(周波数変換)、UZ−6D6(中間周波数増幅)、6Z−DH3A(検波&低周波増幅)、UZ−42(電力増幅)、KX−80BK(整流)、EZ−6E5(同調指示)である。一応鳴るそうであるが、安全の為に点検を依頼される。古いラジオは是非とも点検を実施して、大切に安全に使いましょう!


修復前の内部様子。そんなには汚れていないのであるが・・・。


内部のダイアル糸掛け図の様子。糸が切れた場合、この図がなければ苦労します。


内部の回路図もきちんと残っている。回路図が残っていると、修理はし易いです。


修復前のシャーシー上部の様子。汚れも少なく、状態は良い。真空管はマジックアイ以外はすべて日立製が付いていた。マジックアイは交換されたらしくホリゾン製が付いていたが、これもかなり輝度が落ちている。スピーカーが交換されたらしいが、大きさが微妙に小さく、1本のネジでかろうじて止まっている。


修復前のシャーシー内部の様子。修理や事故の形跡はない。すべて当時の部品のままなので、全部の抵抗とコンデンサーを交換する事にする。


電気回路の修復が完了したところ。内部の部品を全て新品に交換してますので、安心です。各種絶縁試験も良好でした。安全の為に、電源コードも交換してます。またこの頃の出力トランスは巻線の材質が悪く、断線が予想されるので、新品に交換しておきました。ボリュームもガリが有るという事で、交換することにしました。PUへの切り替え用の3Pスイッチ付きの長軸ボリュームは、特注品なので高いです。ところが回路をよく見てみると、接点はトランスファー接点ではなく、A接点が2回路ある特殊な回路となっていました。この様なボリュームは現在入手が出来ません。仕方がないので、トランスファー接点に回路を改造しました。バリコンの固定用の防振ゴムが経年変化で溶解して、バリコンが斜めになっている。これは代用品として、水道のパッキンを使用するのが定番である。さてさて、先日作製したラジオ電圧チェッカーが活躍する時が、いよいよやって来ました!!!調整を実施しましたが、なかなか便利でした!


次はキャビネットの修復に取りかかる事にする。外は雪が積もっているので、再塗装作業は時間がかかります。ご了承ください!


キャビネットは再塗装の為に塗装をサンダーで落としました。外が雪なので、天候の回復を待って実施しましたので、時間が掛かりました。サランネットも張り替えを実施しました。再塗装作業は、この後「との粉」を塗り、その上にニスを2回塗り、仕上げに透明つや出しニスを塗ります。それぞれ塗装が乾くまで待たなければならないので、時間がかかる作業です。


真空管試験器で試験したところ、出力管のUZ−42のエミッションが非常に悪かった。これは絶縁不良のカップリング用のペーパーコンデンサーを交換せずに長時間通電した為に、プレート電流が増えてエミッションの低下を招いたのが原因であろう。古いラジオは鳴るといってもこの場合の様に、真空管に負担が掛かっている場合が多いです。是非ともチェックしてお使いください!


キャビネットの再塗装が完了したところ。木目を生かした塗装になっています。サランネットも張り替えて、見た目は凄く綺麗になりました!


修復が完了したところ。(マジックアイは新品で撮影しています。)各種調整も実施し、絶縁試験も実施し、1時間程度テストしたが問題無さそうなので完了とする。生まれ変わったラジオ、是非とも大切に末永くお使いください!

以上、修復作業時間は約15時間、交換部品代は約5,500円でした。

誠文堂新光社から2007年11月16日に発売された「真空管ラジオ製作ガイド」の一部を執筆させて頂きました。是非とも1冊ご購入をお願いします!

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