「エルマン」修復記


(続)真空管ラジオ修復記 > 戦前〜戦時中〜終戦直後のラジオその3 > 「エルマン」修復記

修理を依頼された、大洋無線(ELMAN)の「形式不明」 の修復をして見ました。


修復前の様子。思ったより綺麗で状態は良い。一応鳴るらしいが、だんだんと音が小さくなってくるという事である。使用真空管は、UY−56(再生検波)、UX−12A(電力増幅)、KX−12F(整流)の並三ラジオである。


修復前の内部様子。戦前のラジオとは思えない程、シャーシーの状態も良い。


銘板も綺麗に残っている。


修復前のシャーシー上部の様子。戦前のラジオの割には、汚れや錆も少なく良好である。


修復前の前面の様子。スピーカーのコーン紙の破れも無く、ダイアル目盛りの状態も良好である。


修復前のシャーシー内部の様子。段間の低周波トランスが断線の為に取り外されて、抵抗結合に改造されている。またケミコンなど一部に最近の部品が使用されている。


修復が完成したシャーシー内部の様子。オリジナルの回路の低周波トランスによる結合に戻しました。安全の為に全ての抵抗とコンデンサーを交換しました。電源コードはプラグをオリジナルとして交換してあります。なんとヒューズには4Aが付いていました。これでは全然役に立ちません。3球なんで、0.5A程度でも充分です。パイロットランプは6.3V用が付いていましたが、2.5Vで点灯しているため暗いので交換しました。


修復が完了したところ。パイロットランプは点灯しているのですが、周りが明るすぎて良く解りません。内部はオリジナルの回路に戻してあります。真空管は試験すると、再生検波のUY−56がかなり劣化したいたので音が小さく、交換して良くなりました。また出力管のUX−12Aも弱ってきています。これは現在大変高価で貴重な球なので、このままとしました。状態の良いラジオなんで、是非とも大切にお使いくださいね!

以上、修復作業時間は約8時間、交換部品代は約3,500円でした。

誠文堂新光社から2007年11月16日に発売された「真空管ラジオ製作ガイド」の一部を執筆させて頂きました。是非とも1冊ご購入をお願いします!

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