ナショナル「DM−355」修復記
(続)真空管ラジオ修復記 > 戦後mT管トランスレススーパーラジオその4 > ナショナル「DM−355」修復記
修理を依頼された、松下電器産業(NATIONAL)の「DM−355」 の修復をして見ました。
修復前の様子。使用真空管は、12BE6(周波数変換)、12BA6(中間周波数増幅)、12AV6(検波&低周波増幅)、30A5(電力増幅)、19A3(整流)、12Z-E8(同調指示)である。当時のこのラジオの定価は8,700円で、当時の公務員の初任給は10,800円という事から考えて、それなりに高価だったんですね!
修復前の内部様子。若干油汚れが見られる。
今はもう入手出来ないレス用のマジックアイ12Z−E8の輝度も、マジックアイテスターで確認したところ、ご覧のとおりかなり明るい。こんなに明るいマジックアイは大変貴重です。後で確認したのですが、どうも内部の接触が悪く、消える事がありました。軽くたたくと点灯します。ベースの半田付けの接触不良では無い様です。とても残念です。
修復前のシャーシー内部の様子。大きな事故や改造や修理の跡は見られない。
修復前のシャーシー上部の様子。電力系の抵抗が経年変化で茶色く焼けている。
プラスチックキャビネットは完全分解後、水洗いにより汚れを落とす事にしました。
修復が完了したシャーシー内部の様子。信頼性の低い全てのペーパーコンデンサーを交換しました。パイロットランプもゴムブッシュが劣化していて危険なので、交換しました。19A3用のパイロットランプは3V/0.15A(3.2V/0.16A)なんで、現在は作製されておらず、絶滅危惧品種に指定された在庫限りの貴重品です!また、電源コードも念のために交換しておきました。
修復が完了したところ。各種試験を実施後、問題無さそうなので完了とする。大切にお使いくださいね!
以上、交換部品代は約1,400円、修復作業時間は約4時間でした。
誠文堂新光社から2007年11月16日に発売された「真空管ラジオ製作ガイド」の一部を執筆させて頂きました。是非とも1冊ご購入をお願いします!