ナショナル「CA−365」修復記


(続)真空管ラジオ修復記 > 戦後mT管トランスレススーパーラジオその3 > ナショナル「CA−365」修復記

修理を依頼された、松下電器(NATIONAL)の「CA−365」 の修復をして見ました


修復前の様子。短波付きのレス機である。使用真空管は12BE6(周波数変換)、12BA6(中間周波数増幅)、12AV6(検波&低周波増幅)、30A5(電力増幅)、35W4(整流)である。電源コードが途中で切られているので、過去に事故でも起きたのであろうか?これも怪しさ満点である。「CX−430」と、ツマミやスピーカーの配置が同じデザインである。キャビネットはそれなりに汚い!


修復前の内部様子。見た目は年代相応で普通に見えるのだが・・・。


修復前のシャーシー上部の様子。綿埃が相当溜まっており、大変汚かった!


修復前のシャーシー内部の様子。修理の跡が見られ、出力管の結合コンデンサー等が、一部交換されている。内部にブロック型ケミコンが横たわっている。


ブロック型ケミコンは状態が良くなかったので取り外し、代わりにラグ板を立てて、ケミコンを追加しました。


修復が完成したシャーシー内部の様子。すべてのペーパーコンデンサーとケミコン類を交換しました。パイロットランプは割れていたので交換。またナショナルラジオの特徴である、パイロットランプの配線がボロボロだったので、交換した。最終通電前のチェックで出力トランスの1次側の断線が見つかり交換しました。その後、通電試験を実施しましたが、一応放送は聞こえるのですが、しばらくすると突然、放送が聞こえなくなります。他、調子が悪い所も有りそうなので現在原因を調査中です。これも怪しいラジオです。


修復が完了したところ。途中で受信出来なくなる原因は、まず局部発振停止を疑ったが、これは正常。であれば低周波増幅は正常である事から、原因は2段のIFTと、中間周波数増幅回路に有る事になる。ここでまず簡単に中間周波数増幅管の12BA6を交換してみた。まだ何だかどこか接触が悪そうなガリガリ音が出る。ここが悲劇の始まり。真空管は正常だと思いこんでしまった。そこでIFTを交換したのは良かったが、またしならくすると音が途切れ、解決しない。散々悩んだあげく、原因が後段IFTコイルの断線しかかりのガリガリ音と、中間周波数増幅管の12BA6の不良による、音の途切れと判明!故障が数カ所有るのは珍しくないが、このラジオは思ったより修理に苦労したラジオでした!またキャビネットがベークライト製なので、強力洗剤で洗うと表面が浸食される危険があるので、普通の食器洗剤で洗浄した為、イマイチ汚れがすっきり取れないのが残念である。各種調整後、1時間程度テストして問題が無さそうだったので完了とする。もう、こんな悩ましいラジオはいやだ〜!

このラジオの修理依頼者の方のブログはこちらです。併せてごらんください。

以上、修復作業時間は約9時間、交換部品代は約4,500円でした。

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