ナショナル「BX−210」修復記その3


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修理を依頼された、松下電器産業(NATIONAL) の「BX−210」の修復をして見ました。


修復前の様子。依頼主の方が、キャビネットや金具等を綺麗に再塗装されている。一応鳴るそうであるが、安全に末永く使用したいとの事で、電気回路の修理と点検を依頼される。使用真空管は、UZ−6D6(高周波増幅)、6W−C5(周波数変換)、UZ−6D6(中間周波数増幅)、6Z−DH3A(検波&低周波増幅)、UZ−42(電力増幅)、KX−80BK(整流)、EZ−6E5(同調指示)である。過去の2台は、整流管が80HKが付いていたが、正式には銘板から80BKが正規らしいし、トランスの巻線の電流値も80BK用の0.7Aであった。


修復前の内部の様子。外は再塗装されて綺麗であるが、内部は年代相応である。内部の回路図が剥がれて、ほとんど残っていない。


修復前のシャーシー上部の様子。良く見ると、出力トランスの2次側から音声信号を帰還させるラインが切られている。このラジオはソケットがハトメで止められていたり、高周波1段増幅で配線が複雑で回路図も無いので、シャーシーの再塗装は諦めた。ダイアル糸も切れているが糸掛け図もないので、推測で糸を張るしかない。


修復前の様子。シャーシーは汚れ、ダイアル糸も切れて、状態はイマイチ。


修復前のシャーシー内部の様子。高周波1段増幅なんで、部品の数も多い。何と贅沢にもブロック型のケミコンが2個も使用されている。


なんと、出力管の結合コンデンサーが交換されている。ここは一番のウイークポイントなので、それなりの知識がある方が、ここだけ交換して、鳴ると言ってオークションで出品したらしい。安全に末永く使用する為には、他のペーパーコンデンサーなども交換が必要です。


シャーシーには、タバコのヤニなのか、ずいぶん汚いので、この清掃から始める事にした。


清掃後のシャーシー上部の様子。汚かったヤニも取れ、さっぱり綺麗になった。


電気配線の修復か完了したシャーシー内部の様子。全ての抵抗とコンデンサーを余裕を持った新品に交換し、電源コードは袋打ちコードと丸形プラグに交換しました。マジックアイの消耗を防ぐ為に、消灯用のスイッチも取り付けました。この頃の出力トランスは、巻線の材質が悪く断線が予想されるので、新品に交換しておきました。これで安心してラジオが楽しめます。なお、付いていたマジックアイが不良で、陰が閉じません。良品を取り付けると正常ですので、交換してください!


修復が完成したところ。マジックアイは新品を取り付けて撮影しています。各種調整後、テストして問題が無さそうなので完了とする。真空管のエミッション試験を実施したら、一部の真空管が弱っていた。また絶縁試験も実施し、安全を確認してあります。これで安心してラジオを使用出来ます。保守用の真空管はマジックアイを含め、依頼主の方が用意されているとの事でしたので、しばらくは安心ですね!是非とも末永く、大切にお使いくださいね!


その後、ご依頼主の方から、使っている風景の写真を送って頂きました。音を気に入って頂き、毎日使っているそうです。ありがとうございました!

以上、交換部品代は約6,200円、修復作業時間は約14時間でした。

この同じ形式のラジオは何台か修理経験があります。詳細は1台目2台目、3台目、4台目、5台目、6台目7台目

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