ゼネラル「6S−5」修復記


(続)真空管ラジオ修復記 > 戦後ST管スーパーラジオその3 > ゼネラル「6S−5」修復記

修理を依頼された、八欧無線(GENERAL)の「6S−5」 の修復をして見ました。


修復前の様子。使用真空管は、6W−C5(周波数変換)、UZ−6D6(中間周波数増幅)、6Z−DH3A(検波&低周波増幅)、UZ−42(電力増幅)、KX−80HK(整流)、EZ−6E5(同調指示)である。


修復前の内部様子。おやおや、良く見るとUZ−42が2本挿さっている。1本は6Z−DH3Aのはずである。真空管が抜けて、訳が解らず適当に挿したのであろうか?またヒューズは取られている。このままで通電出来ない様にとったのか、それとも通電して飛んで取ったのであろうか?このまま通電したかと思うと、ああ恐ろしい〜!!


ダイアル目盛りには、東京方面の放送局名が紙に書かれて貼られている。本当はダイアル目盛りの前に、透明なプラスチックの板が有るのであるが、割れたのかこのラジオには無くて、手で針が触れる状態である。


修復前のシャーシー上部の様子。それなりに汚れや錆が見られる。よく見ると、同調バリコンのトリマーが壊され、アンテナ線が接続されている。またアンテナコイルが交換されSTAR製が付いているが、1次側が切れている。推測するに、アンテナコイルの断線により感度が低下し、同調バリコンのトリマーから直接アンテナ線を出したらしい・・・。


修復前のシャーシー内部の様子。電源コードが途中で継ぎ足しされていたり、一部コンデンサーが交換されている。どうも昭和40年代位に、修理された様だ。ダイアル駆動の糸も、太い凧糸に交換されているが、太すぎて動きがスムーズではない。きちんとしたダイアル糸に交換することにした。


修復が完了したシャーシー内部の様子。全ての抵抗とコンデンサー類を交換しました。ボリュームも不良で交換しましたが、PU切り替え3Pスイッチ付きのボリュームは特注品なので高いです。一度交換されたらしい出力トランスの1次側巻線も断線していたので、こちらも交換しました。またこちらも修理で交換されていたアンテナコイルの1次側も断線していたので、巻き直して修理しました。意外と状態が悪かった様です。マジックアイは残念ながら全く光りません。6E5は新品が1本5,000円程度まで高騰しているので、ソケット交換が必要ですが安価な、6E5Cを取り付けました。シャーシー横に消灯用のスイッチを取り付けましたので、普段は消灯して貴重なマジックアイの消耗を防いでお使い下さい。


修復が完了したところ。各種調整後試験も実施し、良好でしたので完了とする。割れて欠品だったダイアル窓も作製しました。バリコンのトリマが破壊されていたり、アンテナコイルが交換されていたりと、調整するもあまり感度が良くなりませんでした。実家から発掘した秘伝のラジオ。大切に末永くお使いください!

以上、交換部品代は約11,000円、修復作業時間は約10時間でした。

誠文堂新光社から2007年11月16日に発売の「真空管ラジオ製作ガイド」と、2008年12月17日発売の「ゲルマラジオ製作徹底ガイド」の一部を執筆させて頂きました。是非とも1冊ご購入をお願いします!

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