「6R−70」修復記


(続)真空管ラジオ修復記 > 戦後ST管スーパーラジオその2 > 「6R−70」修復記

寄贈された、ビクター(Victor)の「6R−70」 の修復をして見ました。


貴重な戦前の6球スーパーラジオです。ツマミがばらばらなのが残念です。部品取りという事で寄贈してもらいましたが、大変貴重なラジオでした。実は戦前のスーパーラジオは初めてなんです。


使用真空管はUZ−58(高周波増幅)、Ut−2A7(周波数変換)、UZ−58(中間周波数増幅)、UZ−2A6(検波&低周波増幅)、UZ−2A5(電力増幅)、KX−80(整流)です。戦前の2.5V系のスーパー受信機の豪華な真空管構成である。貴重な戦前の高周波1段増幅スーパーヘテロダインラジオです。当時は高かった事であろう・・・。スピーカーはフィールドダイナミックSPです。残念ながら入っていた真空管は、UZ−57、UZ−2A6、UZ−2A5、KX−80の4本だけであった。58の代わりに57が使われていた様だ。こちらは在庫がたくさん有るので問題ないが、Ut−2A7は自分の所に在庫が無く、入手も困難である。3W−C5なら在庫があるけど差し替えは不可なんでどうしよう・・・?真空管はいずれもヒーターの導通はあった。


キャビネットの状態はあまり良くないです。


底もボロボロです。


修復前のシャーシー上部の様子。シャーシーを取り外すのも下部の防振ゴムが経年変化で溶着しており、大変であった。トランスがやたらと大きくて重たい!よーく見ると、58と2A7のソケットが有った部分に、スター製の高一コイルと、ブロック型ケミコンが付いていた。IFTも無いことから、残念ながらせっかくのスーパーへテロダイン受信機が高一ラジオに改造されてしまっている!!!ああ、何たることか・・・!でも、なんでこんな改造(改悪?)を?真空管が入手出来なかったのであろうか?


修復前のシャーシー前部分。戦前のラジオにしては珍しく、ダイアル糸によって指示針が平行に動く仕組みである。残念ながらダイアル糸は切れていた。


修復前のシャーシー内部の様子。抵抗やコンデンサー類が、整然と並んでいて、気持ちがよい。大幅な改造がなされており、オリジナルの回路が解らなくなってしまっている!せっかくUt−2A7を入手したのに、これでは役に立たない。当時の160KHzのIFTやコイル類は、入手は不可能であるから、オリジナルへ修復する事は、まず無理であろう!このまま高一ラジオにするのもおもしろくない。それと、高一回路なのに再生回路は付けられていない事から、感度はさほど良くなかったであろう?何故こんな改悪を?

さーて、修復か部品取りか?どう思います?

寄贈頂きました東京都渋谷区のM様、本当にありがとうございました!

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