マツダ「614A」修復記


(続)真空管ラジオ修復記 > 戦後ST管スーパーラジオその4 > マツダ「614A」修復記

修理を依頼された、東京芝浦電気(マツダ)の「614A」 の修復をして見ました。


修復前の様子。オーソドックスなST管5+1球スーパーラジオである。使用真空管は、6W−C5(周波数変換)、UZ−6D6(中間周波数増幅)、6Z−DH3A(検波&低周波増幅)、UZ−42(電力増幅)、KX−80HK(整流)、EZ−6E5(同調指示)である。


修復前の内部様子。依頼主の方が通電チェックしたそうであるが、ハム音だけで鳴らなかったそうである。


銘板も綺麗に残っています。


マジックアイはオリジナルのマツダ製が付いていましたが、ご覧のとおりほとんど光りません。


修復前のシャーシー上部の様子。ものすごい埃でしたが、エアガンで埃を吹き飛ばし、何とか見れる状態になりました。


修復前のシャーシー内部の様子。修理や改造の跡は見られないが、ブロック型ケミコンが膨張しており、破裂寸前の危険な状態であった。


キャビネットの保存状態も悪く、両側の塗装部分は、剥げ落ちている。これは再塗装してもそのまま跡が残りますが、依頼主のご希望により再塗装する事にしました。


電気回路の修復が完了したシャーシー内部の様子。安全の為に、全てのペーパーコンデンサーとケミコンと抵抗を交換しました。電源スイッチ兼トーンコントロールは新品に交換しました。ボリューム兼PU切り替えは、3点接続の特殊なスイッチ付きなんで、現在入手出来ません。スイッチが不良だったので、PU機能は殺してラジオだけです。内部は接点復活剤で清掃し、ガリも無くなり良好です。通電テストして受信を確認後、各種調整を実施しました。


この頃の出力トランスは、巻線の材質が悪く、半数程度は断線するので、念のために新品に交換しておきました。


フロントパネルは、ご希望によりサランネットの張り替えは実施せずに、清掃のみとしました。


キャビネットは再塗装の為に、塗装をサンダーで落として、無垢の状態になりました。再塗装は、まず砥の粉を塗り、その後にニスを2回塗り、最後につや出し透明ニスを塗ります。乾くまで時間が掛かりますので、結構時間が掛かります。


キャビネットの再塗装が完了したところ。新品の様にはいきませんが・・・。


修復が完了したところ。各種調整後、問題無さそうなので完了とする。電源とシャーシー間の絶縁が20MΩ以下なんで、若干低いみたいです。気をつけてお使いください。

以上、修復作業時間は約14時間、交換部品代は約4,500円でした。

誠文堂新光社から2007年11月16日に発売の「真空管ラジオ製作ガイド」と、2008年12月17日発売の「ゲルマラジオ製作徹底ガイド」の一部を執筆させて頂きました。是非とも1冊ご購入をお願いします!

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