マツダ「513F」修復記


(続)真空管ラジオ修復記 > 戦後ST管スーパーラジオその3 > マツダ「513F」修復記

修理を依頼された、東京芝浦電気(マツダ)の「513F」 の修復をしてみました。


修復前の様子。使用真空管は、6W−C5(周波数変換)、UZ−6D6(中間周波数増幅)、6Z−DH3A(検波&低周波増幅)、UZ−42(電力増幅)、KX−12F(整流)と、出力管と整流管が少々アンバランスである。本当は整流管に負担を掛けない様に、80HKや80BKを使うと安心で寿命も延びると思うのであるが、何故この様な設計になっているのであろうか・・・?またこの513シリーズには整流管の容量不足の為か、マジックアイは付いておらず、513Dから513Hまでたくさんの兄弟が存在するのである。僕も、513E513Gの修理経験がある。


修復前の内部様子。電源コードは交換されているが、内部の部品はどうなっているのかがすごく不安である。裏蓋が残念ながら欠品である。


修復前のシャーシー上部の様子。それなりの埃で汚れているが、錆はあまり出ていない。


修復前のシャーシー内部の様子。電源コードのみ交換されているが、他の部品は当時のまま。その電源コードには何故か中間スイッチが付いている。またヒューズが、85Vの位置に2Aの物が付いていた。これで当面は安全としてオークションで売られていたのだから恐ろしい!!!僕の所に点検にやってきて、本当に良かったと思います!このままでは大変危険な状態でした!


シャーシーは再塗装の為に完全分解しました。


シャーシーを再塗装し、各部品を取り付けたところ。大変綺麗になりました。ダイアル可動部も潤滑剤を塗布し、動きがスムーズになりました。パイロットランプは交換されており、何故か5.2V用(?)のが付いていましたので、明るめの新品に交換しておきました。


再塗装したシャーシー内部の様子。真空管のソケットも洗浄し、各端子は半田の乗りを良くするために磨き、接触不良防止の為にソケットもヤスリで磨き、バネを強めました。電源スイッチが不良で、左側の電源スイッチ兼トーンコントロールのボリュームを新品に交換しました。真ん中の音量調整は、抵抗値が1.2MΩとずいぶん大きくなっています。ガリ防止の為に完全分解し、接点復活剤を塗布しました。このボリュームはPU切り替えを兼ねていますので、現在は特注品しか入手できないので、交換すると高価になりますので、とりあえず様子見とし、このままとしました。


木製キャビネットはオークションの出品者が再塗装した様であるが状態が良くなく、依頼主の方の御希望により再度塗装することにしました。キャビネットを完全分解後、塗装をサンダーで落として白木状態になりました。この後、砥の粉を塗ってからニスを2度塗って、最後に透明つや出しニスを塗って仕上げます。結構大変な作業です。


キャビネットと飾り金具は再塗装し、サランネットは張り替えを実施しました。窓部分は、プラスチック用ペーストで磨き上げました。キャビネット外観は木目が生かされ、見た目はかなり綺麗になりました。次は電気回路の組み立てに取りかかります。


電気配線が完了したシャーシー内部の様子。すべての配線をやり直し、抵抗やコンデンサー類は全て規格に余裕を持った新品に交換してあります。出力トランスは断線してませんでしたが、この頃の出力トランスは巻線の材質が悪く、使っているとかなりの確率で断線しますので、安心してお使い頂ける様に新品に交換してあります。電源コードは袋打ちコードと丸形プラグに交換しました。これで安心してラジオを楽しめます!


修復が完了したところ。各種調整後1時間程度テストして問題なさそうなので完了とする。予備の真空管も一式用意しましたので、安心です。大切に末永くお使いください!

以上、修復作業時間は約18時間、修復部品代は約5,000円でした。(保守用真空管を除く)

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