「国民受信機Z−3」修復記


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これは昭和12年頃松下無線製造の高周波1段増幅「国民受信機Z−3号」の修復記録です。修復には1ヶ月以上掛かりました。


まずシャーシーが錆でぼろぼろでしたので、紙ヤスリにて研磨から始めました。


修復前の内部の様子です。前の持ち主は通電チェックしたそうですが、僕にはそんな勇気はありません。コンデンサーや抵抗はずいぶん大きいですね。


電源平滑用のコンデンサーはわずか4μFの容量なのにこんなに大型。そして膨れあがっている。このまま使い続けると破裂する事でしょう。
戦前のケミコンの品質不良時代の産物。(四角の部分)


こちらは抵抗・コンデンサーをすべて新品に交換し、配線もやり直した修復後。部品が小型になっているので、すっきり。
でもプレート負荷用のチョークコイルが断線していて、この後に交換した。ケミコンはケースだけ飾りで付いている。


マグネチックスピーカーのコイルも断線していたので、巻き直す羽目になった。
0.1mmのUEWを3500回巻いた。細いので切れやすいので緊張した。その後通電テストとなった。
マグネチックスピーカーの音は初めて聞いたが、電話の様な音ですね。回路の調子はいい様です。
現状の使用真空管はUY−57S、UY−24B、3Y−P1、KX−12Fですが、オリジナルの真空管はソケットの刻印よりUY−24B、UY−24B、UY−47B、KX−12F
出力管の3Y−P1と整流管のKX−12Fはエミ減気味で、出力管は後ほど入手した新品の3Y−P1に交換、整流管も別の元気な12Fに交換しました。
裏蓋もベニヤ板で作製しました。


後ろ側のエンブレム。旧字体が古さを感じさせます。


修復が完成したラジオ。もったいなくて長時間は聞けません。ツマミが現代の物で、不釣り合い!!!


その後、古典ラジオに似合うサトーパーツK−2056というツマミを見つけて取り付けた。このツマミはかなりオリジナルに似ていてマッチしている。(オリジナルのツマミは木製であるが、形は似ている。)オリジナルの写真は、加藤様のページにてご覧頂けます。


このラジオの修復に当たりまして、ラジオ工房の内尾様、アンティークラジオ展示会の加藤様にいろいろとご指導を頂きました。この場をお借りしてお礼申し上げます。本当にありがとうございました。

国民受信機Z−3の回路図


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