テレビアン修復記その2


(続)真空管ラジオ修復記 > 戦前〜戦時中〜終戦直後のラジオその1 > テレビアン修復記その2

修理を依頼された、山中電機(TELEVIAN) の「東邦型5號」修復をして見ました。


修復前、キャビネットの状態も良く、保存状態は良い様だ。使用真空管はUZ-57(再生検波)、UY-56(低周波増幅)、UX-12A(電力増幅)、KX-12F(整流)のオーソドックスな戦前の並四の構成である。若干の虫食いがあるが、目立たない。ツマミが1個違うのが非常に残念である。キャビネットの状態はキズも少なく大変良好で、保存状態も良い!真空管はすべてオリジナルと思われるマツダ製が刺さっていた。12Fは4本足タイプの戦前型であった。どれも状態は良さそうである。下の3つのツマミは左側から音量調整、電源スイッチ、再生調整である。


内部の様子。若干の錆が見られるが、埃もなくそんなに汚れてはいない。期待が持てる状態だ。売り手が通電チェックしたそうだが、音は出なかったらしい。状態が良い物でも、いきなりの通電チェックは避けましょう!キャビネットの下に回路図が貼ってあり、助かった。


シャーシーを取り外した状態。若干の錆は見られるが、不思議なことに埃一つ無い状態。・・・と言うことは、修理の手が入った物なのか?ところでヒューズを確認した所、なんと5Aの物が付いていた。これではヒューズの役をなしません。なんて恐ろしい事か!!!さっそく0.6Aの物に交換しました。


シャーシー内部。やはり埃もなく綺麗な状態。内部はブロック型のペーパーコンデンサーが、電解コンデンサーに交換修理されている様だが、幸いなことに改造はされていない様だ。チェックした所、段間トランスもチョークコイルもアンテナコイルも断線はしていなかったが、残念な事にマグネチックスピーカーは断線していた。戦前のラジオのマグネチックスピーカーは、半数近くが断線している。コイルの巻き直しには、0.1mmのUEWを手作業で切れないように3、500回程巻く必要があるので、大変時間が掛かる作業である。(もう、かなりのSPを巻き直したので、コツをつかんだが、あまりやりたくない作業である。)スピーカーのフレームも埃もなく、やはりしっかり保存されていた様だ。


文字盤は、戦前のタイプらしく、時計回りで周波数が下がる方向で、戦後タイプと逆の動きをするタイプである。


シャーシーはいつもの通り、完全分解を実施して、再塗装して、見違える程美しく仕上がった!


電気配線が完了した内部。部品が小型化してすっきりしている。


修復が完成したシャーシー上部。どうです?美しいでしょ?トランスも再塗装してあります。


修復が完成した様子。サランネットも張り替えて、ダイアル窓の飾り金具も再塗装してあります。外観を見るととても戦前のラジオには見えない程美しく仕上がりました!戦前の並四ラジオの独特の音を響かせてくれます。保守球も4本中3本は新品で用意しました。(UZ−57のみ中古)これでしばらくは安心して戦前のラジオの音を楽しめます。是非とも大切にしてください。

ここまでの修復作業時間は、約14時間程度でした。


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