大阪無線「規格1号受信機」修復記


(続)真空管ラジオ修復記 > 戦前〜戦時中〜終戦直後のラジオその1 > 大阪無線「規格1号受信機」修復記

大阪無線(Hermes)の「F−8型・規格1号受信機」 の修復をして見ました。


デザイン的には、あまりカッコ良くない。もうちょっと何とかならなかったものか?使用真空管は、戦前からの並四のオーソドックスな構成で、UZ−57A(再生検波)、UY−56(低周波増幅)、UX−12A(電力増幅)、KX−12F(整流)である。ヒーター切れは無し。同調はバリコン直結のツマミを直接回し、指示針は無い。またパイロットランプもヒューズも無く、戦時中で物資が不足していた時代を反映している。同調目盛り板には規格1号受信機と記載があるが、内部の回路図や真空管配置図にはF−8型と記載がある。


修復前の内部の様子。かなり汚い。修理や改造の跡は見られない。マグネチックスピーカーはコーン紙の破れはないが、コイルが断線しているので巻き直しが必要である。裏蓋が欠品しているので、作製することにする。


修復前のシャーシー内部の様子。金属資源が不足していたのか、シャーシーが小さいので、かなり実装密度が高い。


修復前のシャーシー上部の様子。汚れが多く、若干錆も見られる。紙ケースのケミコンもそのまま残っている。あまり使用されなかったのか、ケミコンの膨張や液漏れの跡はない。ケミコンには、昭和18年の検印が押してあったので、その年の製品であろう。


キャビネットの底には、まだ回路図がかろうじて残っている。回路は戦前並四の代表的な回路であったが、定数が記入されていない。


キャビネットのレストアが完了したところ。水拭き後、万能ワックスクリーナーで洗浄し、サランネットは張り替えし、ダイアルパネルは外して洗浄しました。やっと綺麗になりました!


シャーシーはいつもの様に完全分解後に再塗装し、大変綺麗になりました!


シャーシーに部品を配置した所。トランスも再塗装してあります。真空管ソケット等は外して洗浄&レストアしてます。修復前と比べると、雲泥の差です。これから内部の電気配線に取りかかります。マグネチックスピーカーも巻き直しに着手します。


修復が完成したシャーシー内部の様子。すべての抵抗・コンデンサーを交換し、配線もやり直しました。ボロボロだったトランスの出力線のエンパイアチューブも交換しました。もちろんヒューズも取り付けました。部品が小型化しているので、修復前と比べるとすっきりしています。


修復が完了したところ。パイロットランプが省略されており、不便なので取り付けました。ツマミは揃っていなかったので、手持ちの物に交換しました。結構大きな音も出ます。現在は冬眠中。

以上修復作業時間は約14時間程度でした。

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