クラウン「R10」修復記


(続)真空管ラジオ修復記 > 戦前〜戦時中〜終戦直後のラジオその2 > クラウン「R10」修復記

100台目の記念すべき、日本精器(CROWN)の「R10」 の修復をして見ました。


修復前の様子。100台目の記念すべきラジオである。これが完了すれば、ラジオの修復はしばらくお休みです。使用真空管は、元々はUY−27A(再生検波)、UX−26B(低周波増幅)、UX−12A(電力増幅)、KX−12B(整流)であったらしいが、現在はUZ−57(再生検波)、UY−56(低周波増幅)、UX−12A(電力増幅)、KX−12F(整流)が付いている。という事は、低周波増幅管のヒーターの電圧が違うが、トランスも交換されたのであろうか?あるいは再生検波段の2.5Vを無理に2つの真空管に分けているのであろうか?外観は人気の有るエアープレーンダイアルである。真空管はいずれもヒーターの導通はあった。真空管のソケットも当然交換されている。


修復前の内部の様子。まずます状態は良い!トランスは交換された様には見えないので、無理にUY−56を取り付けているかもしれない・・・。マグネチックスピーカーは珍しくコイルの導通が有り、断線していない!


修復前のシャーシー上部の様子。汚れも比較的少なく、錆も無く良好である様に見えるが・・・。


修復前のシャーシー内部の様子。配線は至る所で切れており、ブロック型ペーパーコンデンサーが取り外されている様だ。修理か改造の途中で投げ出された様だ。低周波段間トランスも断線したのかシャープ製のが下側に付いている。電源トランスは出力線が布巻き線なので不安である。新品に交換した方が安心である。ついでに真空管も元の構成に戻そうか・・・?


キャビネットは洗浄し万能ワックスクリーナーで磨きました。サランネットを張り替えし、飾り金具も再塗装しました。これだけでずいぶん印象は綺麗に見えます。


シャーシーは完全分解してから再塗装しました。どうです?電源トランスは怪しいので、新品を取り付ける事にしました。


ここで、困った事が発生しました。バリコンを取り外して洗浄しましたが、どうも羽がショートしている様です。ローターとステーターの羽が平行に回転しなくてはならないのですが、どうも斜めになっている様で、羽の修正では直りませんでした。最後の手段として、ステーターを固定している両側のネジを緩めて、角度を調整する事にします。この作業はかえって状況を悪くする場合があるので、慎重に進める必要があります。幸いな事に、羽の角度の調整もうまく行き、ショートもなくなりスムーズに回転する様になりました・・・!


電源トランスはばざーらから購入し、元のトランスが入っていた箱に収めました。トランスとチョークコイルはタールで固めて箱に入っていたので、タールを取るのが大変でした!外観はすべて再塗装してあるので、大変綺麗です。どうです?


内部には段間トランスを配置しました。いよいよ配線に取りかかる事にします。


配線が完了したところ。内部はトランス類も含めて、ほとんど新品に交換してあるので、安心して通電出来ます!真空管構成も元の構成に戻しました。26Bのソケットは手持ちの名称の刻印されたソケットを使いました。こだわって、整流管も貴重な手持ちのKX-12Bに交換しました!


修復が完了したところ。修復が完了したところ。調子よく鳴ってくれます。意外と大きな音もします。大変満足できる修復でした。ツマミは、固定ネジが馬鹿になっているために、M4でタップを切り直して新しいイモネジで固定しました。

以上、修復作業時間は約14時間でした。

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