ナショナル「CF−610」修復記その1


(続)真空管ラジオ修復記 > 戦後ST管スーパーラジオその2 > ナショナル「CF−610」修復記その1

修理を依頼された、松下電器産業(NATIONAL)の「CF−610」型 (通称ゴンゴー)の修復をして見ました。


修復前。ST管からGT管への移行時期のラジオで、出力管のみがGT管という珍しい混成の編成である。使用真空管は6W−C5(周波数変換)、UZ−6D6(中間周波数増幅)、6Z−DH3A(検波&低周波増幅)、6V6−GT(電力増幅)、KX−80K(整流)、EZ−6E5(同調指示)である。マジックアイは、マジックアイ・テスターにてチェックした所、明るい部屋でも何とか確認できる程の輝度が残っている。良かった、良かった・・・。


修復前の内部の様子。埃もそれ程ではない。依頼主がインテリアとして居間に飾っていたそうで、簡単な清掃がしてある様だ。通電して、数分で音が小さくなるとの事で、結合コンデンサーの絶縁不良か、真空管のエミ減が原因であろう。


修復前のシャーシー上部の様子。この程度の埃であれば、このラジオの製造からの時間を考えると程度は大変良く、シャーシーに錆も見られない。ナショナルラジオ特有のパイロットランプの配線の痛みもさほどではないが、交換が必要である。


修復前のシャーシー内部。やはり出力管の結合コンデンサーが絶縁不良で発熱した跡が見られる。改造や修理の跡は見られない。


とりあえずキャビネットは完全分解して、前面パネルは水洗いし、木製部分は万能ワックスクリーナーで清掃しました。キャビネットの状態は、大きな傷は無く年代相応でしょうか。


修復が完成したシャーシー内部の様子。すべての抵抗とコンデンサーを交換、電源コードと豆電球の配線も交換しました。


修復が完成したシャーシー上部。出力管のみがGT管である。実は通電前の最終確認で、出力トランスの1次側の巻線が断線している事がわかり、急遽交換を実施した。この頃のラジオの出力トランスは断線している事が多いので、必ず通電前にチェックしましょう!


修復が完成した所。HiFiラジオで、高音も延びて大変いい音がします。AM放送って、こんなにいい音がするとは驚きです。保守用の真空管も用意しました。1時間程度テストして問題が無さそうなので、完了とする。是非とも大切にお使いください!

以上、修復作業時間は約10時間でした。

このラジオは以後に、また同型を修理をしました。詳しくはこちら


inserted by FC2 system