ナショナル「BX−210」修復記その1


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修理を依頼された、松下電器産業(NATIONAL) の「BX−210」の修復をして見ました。


修復前、保存状態があまり良くなく、木製キャビネットの塗装が剥げかかっている。内部は埃だらけ。持ち主の話では、数分で音が小さくなるという現象らしいので、コンデンサーか真空管の不良であろうか?使用真空管はUZ−6D6(高周波増幅)、6W−C5(周波数変換)、UZ−6D6(中間周波数増幅)、6Z−DH3A(検波&低周波増幅)、UZ−42(電力増幅)、KX−80HK(整流)、EZ−6E5(同調指示)と高周波1段増幅付きの高級機である。大型でどっしり重たい。真空管を見てみると、一番消耗する整流管・出力管・マジックアイがマツダ製とトーヨー製に交換されており、他の真空管はオリジナルと思われるナショナル製が刺さっていた事から察すると、かなり使い込まれて消耗した整流管・出力管・マジックアイを交換したのであろう。交換されたマジックアイも全然光らない事から、交換されていないオリジナルのナショナル製の真空管は相当使われた物と考えられる。


シャーシー上部、年代相当の埃で汚れている。ダイアル糸がタコ糸で交換されている様だが、変な所に結び目が有って、動きが引っかかってスムーズではない。ハンディースチームクリーナーで汚れを落とす。ダイアル糸は交換張り替えを実施した。高級機だけあって、ブロックコンデンサーが2個使われている。


シャーシー内部。焦げた抵抗も膨れたコンデンサーも無いことから、煙を噴く様な大きな故障はなかったらしい。相変わらず汚れがひどいが、状態はそれ程悪くはない。電源一次側のペーパーコンデンサーや出力管の結合コンデンサーがオイルコンデンサーに交換されていたので、一度それなりの知識のある方が真空管の交換と同時に修理したのであろうか?


キャビネットは塗装が剥がれかかっている。


木製キャビネットは再塗装の為、塗装をサンダーで剥がして白木状態となった。サランネットは張り替えし、ダイアル窓は洗浄し、飾り金具は金色に再塗装を実施した。


キャビネットと飾り金具の再塗装が終了したところ。キャビネットの再塗装は最初にサンダーで塗装を落としてから、次にとの粉を塗り、その後にニスを2度塗り、最後につや出し透明ニスを塗った。結構時間が掛かる作業であるが、その分外観は見違える程綺麗になる。次は内部の電気回路のレストアにとりかかる。


修復が完成したシャーシー内部。全てのペーパーコンデンサー、オイルコンデンサー、電解コンデンサー、及び抵抗を規格に余裕をもった新品に交換した。いつもの様にソケットの接触不良を防止するために、接点を磨き、ロータリーSWなどの接点も接点復活剤にて清掃、ダイアル可動部分は潤滑剤を塗布した。


修復が完成した所。なかなか存在感のある高級なデザインであり、自分も1台欲しくなった。調整後、1時間程テストしたが、問題が無さそうなので完成とする。是非とも大切に使ってください。

この同じ形式のラジオは何台か修理経験があります。詳細は1台目、2台目3台目4台目、5台目、6台目7台目


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