ナショナル「AS−350」修復記


(続)真空管ラジオ修復記 > 戦後ST管スーパーラジオその2 > ナショナル「AS−350」修復記

修理を依頼された、松下電器産業(NATIONAL)の「AS−350」 の修復をして見ました。


修復前の様子。ST管の5球スーパーでは珍しい短波付き2バンドラジオである。使用真空管は、6W−C5(周波数変換)、UZ−6D6(中間周波数増幅)、6Z−DH3A(検波&低周波増幅)、UZ−42(電力増幅)、KX−80BK(整流)と、オーソドックスである。マジックアイは付いていない。このラジオはあちらこちらでよく見かけるが、自分は修理したのは初めてである。所々、オリジナルの塗装の剥げがあり、保存状態は年代相応であろうか?依頼主の方が、キャビネットの清掃と再塗装を実施済みである。


修復前の内部の様子。ひどい汚れは無い。真空管はすべてオリジナルと思われるナショナル製が付いていた。全ての真空管で、ヒーター切れは無し。(^ ^ ;)フィールドダイナミックスピーカーが使用されている製品である。フィールドコイルは、直流抵抗1.5KΩ、励磁電流は60mAである。


修復前のシャーシーの様子。電源トランスに結構錆が見られる。ナショナルラジオ特有の、豆球の配線の劣化問題は、配線が交換されている。


修復前のシャーシー内部の様子。豆球の配線の交換と、出力管の結合コンデンサーの交換がなされている。他は、修理や改造の跡はない。ペーパーコンデンサーは、いつもの様にかなり発熱した跡が見られる。ブロック型コンデンサーへの配線が、ボロボロの状態で大変危険な状態であったが、ケミコンは新品を使用するので、この危険な配線はすべて取り払った。


電気配線の修復が完成したシャーシー内部の様子。全ての抵抗とコンデンサーを交換しました。電源コードも安全の為に交換しました。通電すると、一応鳴るのですが、ロータリーSWに接触不良があったりと、あまり調子良くありません。更に調整が必要です。( - _-)  ボリュームのガリは無く良好!各種絶縁試験を実施しましたが、電源とシャーシー間の絶縁が15MΩ程度と、若干低いのが気になる。電源トランスが原因であろうか?実使用上は問題ありませんが、注意してお使いください!


修復が完了したところ。元気良くガンガン鳴ります。短波も調子良く入ります。ロータリーSWの接触不良も清掃により快調になりました。調整後1時間ほどテストして問題が無さそうなので完了とする。末永くお使いください!

以上、ここまでの修復作業時間は約8時間でした。

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