ナナオラ「7M−56」修復記
(続)真空管ラジオ修復記 > 戦後mT管トランス付きスーパーラジオその1 > ナナオラ「7M−56」修復記
修理を依頼された、七欧通信機株式会社(NANAOLA)の「7M−56」の修復をして見ました。
ナナオラの高周波増幅ラジオである。複合管使用の比較的新しい製品である。使用真空管は、6BD6(高周波増幅)、6BE6(周波数変換)、6R−DHV1(中間周波数増幅&検波&低周波増幅)、6AR5(電力増幅)、5M−K9(整流)、6Z−E1(同調指示)である。
修復前の内部の様子。真空管は抜いてある。簡単な清掃がされており、保存状態はまあまあである。通電すると、感度が悪いがかすかに鳴るそうである。コンデンサーの発熱が見られるそうである。
修復前のシャーシー内部の様子。よく見るとバンド切り替えスイッチが、トリオのコイルパックに改造されている。元々2バンド高周波1段増幅ラジオなのに、コイルパックを取り付けた目的がわからない・・・?果たして改造は適切に行われているのだろうか・・・?コイルパックを高周波増幅ラジオに使うのは、回路的に無理がある様な気がする。いや〜な予感が・・・!
修復前のシャーシー上部の様子。依頼主の方が清掃したとの事で、目立った埃は無い。若干の汚れがあるので、洗浄した。
前面パネルは外して洗浄し、中央の飾り金具は再塗装により、綺麗になった。
修復は全てのペーパーコンデンサー・電解コンデンサーを交換した。抵抗は予算の関係からそのままとする。安心して通電できる様になったので、ここでテストしてみるとやはり一応かすかに鳴るが、音がものすごく小さい。さ〜て、原因は?いやな予感的中か・・・?
修復が完了したところ。予想どおり何とせっかくの高周波増幅段が機能していない!音が低い原因は、低周波増幅管の負荷抵抗の断線が原因で交換した。マジックアイも閉じなかったが、これもプレート抵抗の断線で交換したら正常に閉じる。ただ、調整が全然狂っており、回路も発振気味!やはり素人が交換・改造した物であろう。でも何故こんな改造をしたのかは不明。HiFi機能も高周波増幅機能も犠牲にする必要が有ったのだろうか・・・?またチューニングツマミを引っ張るとマジックアイが点灯する仕組みとなっており、かろうじて輝度が残っているのは、このスイッチのおかげであろう。各種調整後、1時間ほどテストしたが、問題が無さそうなので完了とする。是非とも大切にお使いください!
以上修復作業時間は、約8時間でした。