「ソリッドステート・マジックアイ(R)」開発プロジェクト


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ラジオの収集をやっていると、光らない(輝度の落ちた)マジックアイをよく目にします。これはマジックアイが他の真空管に比べて寿命が約1/10以下(数百時間程度)と大変短い事が原因です。また現在、新品のマジックアイは大変貴重で高価です。秋葉原では1本3,500円もしますし、そろそろ売り切れ状態です。そこで僕は、代表的なマジックアイEZ−6E5等にそのまま差し替えが出来、寿命が半永久的なLED式の半導体式のソリッドステート・マジックアイ(R)を作ってみようと計画しました。名称は、ソリッドステート(半導体)のSを取って、”EZ−6E5S”と考えましたが、ホリゾンで丈の短いマジックアイに6E5Sという名称が付いていたので、枝番を付けて、”EZ−6E5SA”と命名したのでありました!!! ( -_-;) また、第二弾としてキット化対応のなんちゃってマジックアイ(R)廉価版の”EZ−6E5SB”も考えました。
暇になると、ろくな事を考えないな〜ぁ?最近、プロジェクト物が多くて、申し訳ないです。Hi.
金額を考えると、新品のマジックアイの方が、安いかもしれませんね?まあ、そう言わずおつき合いください・・・。真空管ラジオにこんな物を付けるなと怒られそうですが・・・。

ソリッドステート・マジックアイ(R)の開発コンセプトは、
1.真空管ラジオ本体のマジックアイのソケットに、6E5の代わりに差し替えが出来る事。
2.ラジオの同調を、緑色のLEDにて、本物のマジックアイの様に、視覚的に表示出来る事。
3.ラジオ本体のマジックアイの表示窓からLED表示部を見せる事ができる事。

自分で考えた、試作機1号機(EZ−6E5SA)の回路図はこちら。(最初の回路から、大幅に変更になってます!)
廉価版(EZ−6E5SB)の回路図はこちら。(DC−DCコンバーターを使わない、キット化を目指した廉価版です!)


トミー無線(株)の新製品、ソリッドステート・マジックアイ(R)「EZ−6E5SA」の紹介パンフレットです。なんのこっちゃ?( -_-)

 回路的には、電源はラジオのヒーターの電源を用います。ラジオのAVC電圧を入力し、10個のLEDをこのAVC電圧の変化によって点灯させる訳です。
 AVC電圧は負の電圧である為、ヒーター電源を整流した電源から、±15Vを得られるCOSELSUCW1R50515というDC−DCコンバーターにてTL071CPというOPアンプを動作させて、反転増幅器により−15V〜0Vの電圧を+5V〜0Vの電圧変化に変換して、TA7612APというレベルメーター用ICにより10個のLEDを順次点灯するしくみです。また注意する点として、ヒーター電圧はどちら側が接地側かラジオによって決まっていないので、ダイオードを2個使って、どちらにでも対応できる様に半波整流を実施しています。全波整流では、ラジオとGNDが共通に出来ないので、不適です。あまり大した回路ではありませんが・・・。(最初はDC-DCコンバーターにアジア電子製のSS5-15D80を、レベルメーターICに三洋電機LB1411を採用予定でしたが、秋葉原での入手のし易さと価格などの問題から、この様に変更しました。)
 課題としては、10個のLEDを、いかに本物のマジックアイの様に配置するかです・・・。サンハヤト製の、丸形のLEDユニバーサル基板が使えそうですが、少々大きくなりそうですので、何か他の物を捜す事にしました。


主要部品を集めたところ。いちばん入手しにくい物はUZプラグでしょうか?これは現在秋葉原では入手できませんが、実はまだ当時の在庫を新品で入手できる店があるのです。マジックアイのソケットも入手できます。地方の小さなパーツ屋さんには、まだまだ発掘されていないお宝が眠っている様です。入手出来ない場合は、光らないマジックアイのベースを外しても良いでしょう。丸形の基板は、ちょうどいい物を秋葉原のラジオストアシーアールで見つけてきました。(大きい方は直径30mmで340円、小さな方は直径25mmで310円です。これは特注品で他の店では売ってません!)棒グラフ状のLEDアレーも秋月電子通商で買ってきましたが、残念ながら色は赤色しか売ってませんでした。他の店に行けば、緑色が見つかるかもしれませんが・・・。写真では、DC−DCコンバーターはアジア電子製が写ってますが、この後に値段の関係からCOSEL製に変更しました。このDC−DCコンバーターはラジオデパート2階の東栄電子で1,397円で、レベルメーター用ICのTA7612AP千石電商で230円で売っています。


表示部分は、円タイプと棒グラフタイプの2種類をアタッチメントで交換できる様に作りました。残念ながら棒グラフタイプの表示色は赤色です。円グラフタイプは、本物のマジックアイの様に、両側から閉じる様に作るのは難しいので、LEDを10個用い円状に並べました。また、当時のあこがれのトーヨーのマジックアイEZ−6E5Dをイメージし、中心には赤のLEDを配置しました!(なんのこっちゃ?)全然似とらん・・・!!!


表示部分のLEDは、35mmの写真のフイルムケースが、本物のマジックアイの直径とほとんど同じなので、これに入れるとラジオのマジックアイの表示窓に取り付け易いんじゃないかな〜?と考えました。ちょうど半透明で、都合がいいです。長さは足りないので、マジックアイの固定金具には、取り付けられませんがねー。写真はラジオが同調していない時です。真ん中の赤のLED部分は、豆電球のブラケットを利用してます。


組み立てが完成したソリットステート・マジックアイ(R)”EZ−6E5SA”基板の様子。調整箇所は3カ所で、それぞれのラジオの特性に合わせてチューニング出来ます。表示部のアタッチメントは、コネクターを使用してますので交換が可能です。上側から出ている3本の線は、マジックアイソケットへ接続するUZプラグへ繋がっています。OPアンプは配線の仕方によって発振する場合があります。僕の所では発振しませんでしたが、他の方から発振の報告を頂きました。パスコンの位置など、ご注意ください!


半田面はこんな感じになりました。本当はジャンパー線は使いたくなかったのですが・・・。


ラジオが同調すると、すべてのLEDが光ります。どうです?6E5Dに似てますか?似てないかー?その後、スイッチで真ん中の赤のLEDを消灯して、6E5モードにも対応出来る様に改造しました?


受信の電波が弱い時は、信号強度によって、LEDの点灯する数が変わります。本物のマジックアイの様に、扇形になれば本当はいいのですが・・・。LEDの個数の関係で、このような形になりました。10個の分解能を減らせば、扇形に点灯する事も可能でしょうがね・・・。丈が短いので、ラジオに取り付けるのは、少し工夫しないといけません。


棒グラフタイプのLEDでは、あまり雰囲気は出ませんね。 (-_-)
6R−E13の様に両側から閉じる様にしましょうかねー?この場合、名前は6R−E13SAにしなくては・・・?ブツブツ・・・。


その後、LEDの点灯順序を、一定の円周方向から、左右分割方向に変更しました。これで、本物のマジックアイの点灯の雰囲気に、少し近づきました?本当は、左右のLEDを2個パラで点灯出来れば左右対称になるのですが、TA7612APのドライブ能力不足で、LEDは1個しかドライブ出来ないので、この様になりました。並列が駄目なら直列にという手も有りますが、電流制限抵抗をすべて交換したりと結構面倒なもので、こんな形になりました。


83番のラジオ(BX−210)に取り付けて見ました・・・。どうです?本物の6E5Dと似ていますよねー!!!閉じ方も実にリアルですよ!取り付けは、フイルムケースがマジックアイの頭にちょうどはまるので、LED表示部分を本物のマジックアイに帽子の様にかぶせて取り付けております。


東急ハンズで外径30mmのアクリルの円筒等をを買ってきて、LED表示部分を本物の真空管の様に改良しようと考えました。本当はこの筒の中に、全ての電子回路が入って下側にベースの足が出れば大変かっこいいのですが、現状ではスペースの関係で難しいですが、回路を極限まで簡素化したEZ−6E5SBにて実現しました。是非ともご覧ください!!!


こんな感じに仕上がりました。上部のアクリル板は、透明ではなくフィルムケースの様に磨りガラスの様な表面が光が適当に散光されて都合が良いので、わざと紙ヤスリで表面に傷を付けて半透明にしました。これならマジックアイの取り付け金具にそのまま取り付けが可能で便利です。アクリルケースは結構高く、1組500円程度掛かってしまいます・・・。何か良いアイディアはないでしょうかね?


表示面はこんな感じです。上面は半透明なので、少々ぼやけた感じに写っています。フィルムケースより、良い感じです!真ん中の赤のLEDを消すと、6E5モードになります!?内部のLEDの基板を止めるネジを目立たなく改良しました。


完成したソリッドステート・マジックアイ(R)。表示部分も、基板本体もアクリル・ケースに収めました。これにて完成です!現在量産中?なんちゃって・・・。

最後にオマケです。このマジックアイはLED式なので、ラジオの電源を入れるとすぐに光ってしまいます。本物の真空管のマジックアイの様に、電源を入れてから10秒程で光り始める様に遅延発光モードを追加しました。これにより、ラジオの電源を入れた時に光り始めるのが10秒程遅れて、実にリアルです!!!お試しください!!!(詳細は、回路図を参照願います)

このソリッドステート・マジックアイ(R)のパーツキットは完売しました。他にも必要な方おられますか?

このキットを組み立てた方の作品はこちらです。


別の方からも写真をお送り頂きました。プリンターで出力された写真をスキャナーで撮ったので、綺麗に取れませんでした。


大変綺麗に配線して頂きました。最初OPアンプが発振したとの事でしたが、配置を変えて動作も安定したそうです。

・・・と、いう訳で変な物を作ってしまいました。製作費用は、アクリルケースを含めて1組4,000円程度でしょうかね?結構高くなってしまいました・・・!ご意見・ご感想もお待ちしております。どなたか同じ物を作った方がおられましたら、是非とも感想などお待ちしております!またこんな入れ物がいいんじゃないとか、アイディアもお寄せください。よろしくお願いします!

その後、部品を省略した廉価版回路を使って、回路もすべて実際の真空管の大きさに納めるなんちゃってマジックアイ(R)EZ−6E5SBを開発しました!続きもご覧ください!

ソリッドステート・マジックアイ(R)、なんちゃってマジックアイ(R)、EZ−6E5SA、EZ−6E5SBなどの名称は、自分のオリジナルで登録商標です?


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