八欧無線「5S-40」修復記


(続)真空管ラジオ修復記 > 戦後mT管トランス付きスーパーラジオその1 > 八欧無線「5S−40」修復記

修理を依頼された、八欧無線(GENERAL)「5S−40」型 の修復をして見ました。


修復前の様子。一応音は出るらしいが、安全に使ってゆく為に、点検&修理を依頼される。使用真空管は、6BE6(周波数変換)、6BD6(中間周波数増幅)、6AV6(検波&低周波増幅)、6AR5(電力増幅)、5M−K9(整流)である。始め写真を見たときはST管かと思ったが、mT管使用で小型である。キャビネットは木製ではなく、ベーク製である。


修復前の内部の様子。シャーシーに若干の錆がある。回路図をみると、オートトランス式である。トランスレスラジオと同じく、電灯線の片側がアースされているので、プラグの差し込み方向によっては感電の危険があるが、フローティングアース方式なので、そんなに神経質になる心配はない。


修復前のシャーシー内部の様子。ペーパーコンデンサーは、絶縁不良で相当発熱したらしく、防湿用の表面のパラフィンが溶けてキャビネットの下に垂れて固まっている。相当危険な状態であった。また内部の配線は、裸線をエンパイアチューブで絶縁して配線しているが、そのエンパイアチューブが経年変化で溶けて、ボロボロである。いつ煙を吹いてもおかしくない極めて危険な状態であった。点検にやって来て、本当に良かったと思います。ボロボロの全ての配線をやり直し、抵抗とコンデンサーをすべて交換する予定なので、修復には時間が掛かりそうです。


修復前のシャーシー上部の様子。埃や汚れは年代相応であろうか?若干の錆も見られるが、紙ヤスリで錆を落とした。電源トランスはこの頃では珍しい縦型である。


ベーク製のキャビネットは完全分解後、洗浄しコンパウンドで磨きました。表面の金色の飾り部分も再塗装しました。45年間の汚れも落ちて、すっきり綺麗になりました。


電気配線の修復後のシャーシー内部の様子。全ての抵抗&コンデンサーを交換し、内部の配線もほとんどやり直しました。ボリュームのガリは、分解して接点復活剤にて清掃して良好になりました。電源コードも堅くなっているので、交換しました。ダイアル可動部分は潤滑剤を塗って、滑らかに動く様になりました。これで安心してラジオを楽しむ事ができます。


修復後の様子。各種調整後、1時間程テストして問題が無さそうなので、完了とする。記念のラジオ、是非とも大切にお使いください!

以上、修復作業時間は約9時間でした。

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