東芝「5BA−50」修復記


(続)真空管ラジオ修復記 > 戦後mT管トランスレススーパーラジオその2 > 東芝「5BA−50」修復記

修理を依頼された、東芝(TOSHIBA)の「5BA−50」 の修復をして見ました。


修復前の様子。使用真空管は、12BE6(周波数変換)、12BD6(中間周波数増幅)、12AV6(検波&低周波増幅)、35C5(電力増幅)、25M−K15(整流)と、少し珍しい構成である。特に25M−K15は、使用例が極端に少なく、現在では大変入手が困難な貴重品である。(自分も新品の在庫は1本のみである。)選局がプリセットの押しボタンでできるラジオである。一応、音は出るらしいが、安全に使用して行くために、修理&点検を依頼される。真空管ラジオを安全に使用していく為には、大変重要な事です。残念ながら、音量調整のツマミと裏蓋が欠品である。選局ボタンには、四国放送などの名称が付いている事から、前の持ち主は、その地方であったのであろう。ボタンを押すと、ちゃんと選局される。プリセット以外の局を選局する場合は、直接周波数表示のドラムを回さなくてはならないのが、ちょっと不便である。キャビネットはそれなりに汚れている。この頃の東芝のラジオは「かなりや」、「うぐいす」シリーズであったのに、このラジオだけは「ピアノラジオ」と、とても変な名前なのである。あまり購買意欲をそそる名前ではない・・・? ( -_-) 他にクロックラジオってのもあったらしい・・・。(どんなラジオか、想像がつくのであるが。)


修復前の内部の様子。状態はまあまあであろうか?全ての真空管で、ヒーター切れは無し。( ^ ^ ;) アンテナにはこの頃にしては珍しく、フェライトのバーアンテナを使用している。裏蓋が欠品なので、シャーシーに手を触れると感電の危険があるので、注意が必要である。一応、フローティングアースなので、危険は少ないが・・・。


修復前のシャーシーの様子。ボタン選局システムが複雑である。局のプリセットは、選局ボタン下のネジで行う様だ。整流管に25M−K15を使用している為、普通の豆球のパイロットランプが使用出来ずに、ネオン管が付いているのだが、暗いのが寂しいのである。( -_-) 
選局がプリセットで一発選局が出来るのが、このセットのウリなのであるが、その後のラジオでこの様なシステムのラジオを見た事がない。評判が悪かったのであろうか・・・?それとも「ピアノラジオ」というネーミングが悪かったのであろうか、定かではない!


修復前のシャーシー内部の様子。部品数は少なく、シンプルである。東芝はこの頃、回路部品を極限まで削減したラジオを作っていたらしい。このラジオも例外ではない。電源コードも10cm程度短くしたという噂もある。徹底したコスト削減である。東芝(マツダ)といえば、真空管では一流なのであるが・・・。


いつもの様に、プラスチックキャビネットは水洗いして綺麗になりました。( ^ ^ ;)


修復が完成したシャーシー内部の様子。安全の為にすべての抵抗とコンデンサーを交換し、電源コードも交換しました。ボリュームはガリ防止の為に、分解して接点復活剤にて清掃しました。選局プリセットメカには潤滑剤を塗って、動きが良くなりました。絶縁試験の結果は良好でした。


修復が完了したところ。欠品のツマミは、手持ちの物を取り付けた。プリセット選局の設定は、選局ボタンの下のカバーを取って、プリセットするボタンの下のネジを押し込んでから緩め、手動で選局後にネジを締めるとプリセットされる仕組みである。説明書が無いと、よく解らない・・・。( ^ ^ ;) オマケとして、プリセット局の局名表示用紙も作成してみました。お役立てください!調整後、1時間ほどテストして問題がなさそうなので完了とする。大切にお使いください。

以上、ここまでの修復作業時間は約6時間でした。

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